1on1は怖くない!実践方法や目的、気になる効果などを紹介

長年にわたり1on1ミーティングの目的や意味を見出せないというお客様をたくさん見てきました。実施したくない理由として、マネージャーが「忙しすぎる」、「メリットを感じない」、「話すことがない」、「いつどのように実施したらよいかわからない」などといった声を聞きます。確かに1on1ミーティングは実施だけでなく目的を明確にして準備しなければならないことやフォローアップなど、他の仕事の合間や空いた時間に行うべきものではありません。しかし、私たちの経験からすると、1on1ミーティングのために費やす時間は投資であり、無意味なものではないのです。本コラムでは、1on1の目的や効果、実践方法などについて解説していきます。

目次

1.1on1とは?その目的と重要性

1on1とは、上司と部下が直接的に1対1で行う面談のことを指します。この場では、部下の達成目標、キャリアプラン、職場での問題、そして個人的な問題などのテーマを話す場となります。これは、従業員のパフォーマンスを向上させ、職場環境を改善するための重要なツールとなります。

1-1.なぜ必要なのか

1on1は、組織全体の成長と従業員の満足度向上に不可欠な取り組みだからです。部下が直接上司と話す機会であり、その結果として上司と部下の間のコミュニケーションを改善し、上司と部下の間の信頼関係を築くことを可能にします。1on1はコミュニケーション強化だけでなく、キャリア支援、モチベーション向上、業務効率化といった多くの効果をもたらします。

1-2.1on1の目的とは何か

1on1の一番の目的はコミュニケーションの強化です。上司と部下が直接対話することで、業務の進捗状況や課題を共有し、迅速な問題解決が可能となります。そして結果的に部下のパフォーマンスを向上させることにつながります。例えば、プロジェクトの遅延や業務上の障害が発生した場合、1on1ミーティングを通じて早期に対処することができます。

また、部下のキャリア開発を支援する役割も重要です。上司からのフィードバックやアドバイスを受けることで、部下は自己成長の方向性を見つけやすくなります。さらに、1on1ミーティングは従業員のモチベーション向上にも効果があります。上司からの関心や評価を直接受けることで、自分の仕事が認められていると感じ、仕事への意欲が高まります。例えば、定期的なフィードバックによって目標達成の達成感を得られると、従業員のやる気が持続します。

2.1on1と通常の面談、内容の違い

2-1.1on1と面談の違い

1on1と通常の面談とは、その目的と効果が大きく異なります。通常の面談は、主に業務上の課題や目標達成のための具体的な行動計画を話し合う場であり、組織全体の方向性に沿った業績改善やスキルアップが主な目的です。一方、1on1は、上司と部下が個人的なレベルで深くコミュニケートするための時間で、部下のキャリアやモチベーション、パフォーマンスの向上を支えることが主な目的です。このように、1on1は部下の成長と組織の発展を直接的にサポートするための場となります。また、1on1ミーティングは部下の意見やフィードバックを直接的に聞くことができ、その人の思考や感情を理解することができます。これにより、部下の満足度や組織へのコミットメントを向上させることができます。そのため、1on1と通常の面談は、それぞれ異なる目的と効果を持つため、両者を適切に組み合わせて使用することが、組織の効果的なマネジメントに繋がるのです。

2-2.それぞれの目的やテーマとは

一般的な面談と1on1ミーティングは、その目的や焦点に大きな違いがあります。
一般的な面談の目的は、業務の進行状況を確認し、パフォーマンスを評価し、必要な支援を提供することです。これは従業員が現在の業務に対してどのようにパフォーマンスを発揮しているかを確認し、改善すべき点や維持すべき点を明らかにするための重要なツールです。

一方、1on1ミーティングの目的は、従業員の個々のニーズに焦点を当て、彼らの成長と発展を支援することです。これは従業員のキャリア目標や個人的な問題を理解し、それらに対する支援を提供するための重要なツールです。

これらの違いを理解することで、それぞれの面談が果たす役割をより良く理解し、効果的に活用することができます。また、これにより、マネージャーは従業員のパフォーマンスを適切に評価し、彼らの成長と発展を支援するための具体的なアクションをとることができます。

3.1on1の実施方法

3-1.どのぐらいの頻度で1on1を行うべきか?

1on1は毎週毎月やればよいというものではありません。重要なのは、頻度や回数ではなく内容を順序立てて建設的に実施することです。これは、会社の規模や業種、あるいは関係者がどれだけ忙しいか、また対面で行うのかオンラインで行うのかによって大きく異なります。
そして1on1ミーティングの理由によっても異なります

・ 四半期ごとの業績や達成した目標を確認するためのものであれば、毎週、あるいは毎月行っても意味はありません
・ ある問題について話すのであれば(例:パフォーマンスが低下したため)、そのような事例が出た時のみ行う必要があります

それぞれのミーティングに明確な目的があれば、1on1ミーティングの回数が多すぎるということはありません。1on1のミーティングは、ミーティングを行うことが目的になってはなりません。正しく行えば、中長期的な関係性に多くのプラス効果をもたらします。繰り返しになりますが、メンバーは自分が大切にされていると感じれば、モチベーションと生産性が向上し、会社にとってより良い結果になるのです。

3-2.どんな場所で行うか?

さまざまな要因で以前とは働き方が変わった今、ミーティングのスタイルも大きく変化しました。だからといって1on1を避けてしまうのは得策ではありません。可能な限り直接会って対面で話をすることが望ましいですが、それができない場合は、オンラインで話をすることをおすすめします。何よりも重要なのは、リラックスしてカジュアルに話せる場所を選択することです。

3-3.1on1を実施する上でのポイント

1on1ミーティングの効果を最大限に引き出すためには、事前の準備が重要です。

ポイント1:「パフォーマンスを記録する」
マネージャーが部下の日々のパフォーマンスについて定期的にメモを取ることができる貴重なツール「パフォーマンス・ジャーナル」を利用すると便利です。このメモには、スタッフのパフォーマンスに関するポジティブな情報だけでなく、問題や懸念など、ネガティブな情報も含まれていなければなりません。

ポイント2:「SMART ゴール」の設定と解説
SMARTゴールは、従業員のパフォーマンスに関わる非常に重要な指標です。目標設定がなされることで目標に集中でき、社員のパフォーマンス測定を可能にします。また、自分に何が期待されているのか、何に向かって努力すべきなのかがわかるので、社員のモチベーションが上がる指針となります。これらの目標を設定することで、実際の1on1ミーティングを計画的に進めることができます。

SMART ゴールとは次のような内容になります。
・Specific:
具体的であること。具体的な目標、数値、望ましい結果を持つべきである。
・Measurable:測定可能であること。目標が達成された場合、結果はどうなるか(例:XXの増加率)
・Achievable:達成可能であること。実現不可能なものではなく、社員の努力を必要とするものであること。
・Related:関連性。会社全体の目的に沿った目標であること。
・Time-bound:中間結果と最終結果の両方に具体的な日付が含まれていること。

4.1on1を通じて部下との関係を強化する方法

4-1.1on1ミーティングの目的を忘れない

1on1ミーティングの最大の目的の一つが効果的なコミュニケーションの実現です。日常の業務中ではなかなか深堀りできない部下の思考や感情、悩みなどを引き出すことができます。これにより、部下のモチベーション向上やパフォーマンス向上につながります。さらに、1on1を通じて部下との信頼関係を築くことができます。部下からのフィードバックを直接受け取ることで、上司自身の成長にもつながります。

また、1on1ミーティングは部下のキャリアパスを共有し、そのための具体的なアクションプランを話し合う良い機会でもあります。これは部下のキャリア形成やスキルアップにも役立ちます。

しかし、1on1のコミュニケーションが効果的になるためには、上司が適切な質問を行い、部下が思考を深められるように導くことが必要です。また、1on1は上司が部下の意見をただ聞くだけの場ではなく、双方向のコミュニケーションを促進し、共有の理解を深める場であるべきです。

1on1の効果を最大限に引き出すためには、ミーティングの頻度、時間、場所などを部下と相談し、部下が安心して話せる環境を作ることも重要です。これらの要素を考慮に入れた上で、1on1を実施することで、効果的なコミュニケーションが可能になります。

4-2.効果的なアイスブレイクの例

1on1ミーティングにおけるアイスブレイクとは、上司と部下がミーティングを始める前に緊張を和らげ、リラックスした雰囲気を作るための軽い話題や活動のことを指します。これにより、部下がより自然に話しやすくなり、オープンな対話が促進されます。以下に、1on1ミーティングで効果的なアイスブレイクのテーマをいくつかご紹介します。

最近の出来事について話す:
プライベートな話題や最近の出来事について尋ねることで、リラックスした雰囲気を作ります。例えば、「最近、週末はどう過ごしましたか?」や「最近読んだ本や見た映画はありますか?」など、軽い話題から始めます。

趣味や興味について話す:
部下の趣味や興味について話すことで、共通の話題を見つけ、親近感を持たせることができます。「休日はどんな趣味を楽しんでいますか?」や「最近、新しい趣味に挑戦しましたか?」などの質問が効果的です。

業務以外の関心事を共有する:
会社のイベントやチームビルディング活動について話すのも良い方法です。「先週の会社イベントについてどう思いましたか?」や「今後のチームビルディング活動に参加する予定はありますか?」などの話題が役立ちます。

軽い雑談を交わす:
天気やニュース、最近の出来事など、誰でも話せる軽い話題を取り上げることで、会話の流れをスムーズにします。「今日はいい天気ですね」といったシンプルな話題でも効果があります。

前回の1on1の内容を振り返る:
前回の1on1で話した内容を簡単に振り返ることで、連続性を持たせ、安心感を与えます。「前回話したプロジェクトの進捗はどうですか?」など、以前の会話に関連する話題を出します。

アイスブレイクは、1on1ミーティングの冒頭に数分間行うだけで十分です。これにより、部下がリラックスし、オープンに話せる環境を整えることができます。    

4-3.1on1における伝え方や話し方のコツ

1on1の間、どのような姿勢で部下の話をきけばよいでしょうか?

傾聴の姿勢を示す
部下の話をしっかりと聞くことが大切です。相手の発言に耳を傾け、適切なタイミングで相槌を打ち、理解を示しましょう。質問を投げかけて相手の考えを深堀りすることも有効です。

フィードバックは具体的に
フィードバックは具体的で建設的なものにしましょう。「最近のプロジェクトでのあなたの貢献度は素晴らしかった」というように、具体的な行動や成果を指摘すると、相手も理解しやすくなります。

ポジティブな言葉を使う
ポジティブな言葉を使い、部下のモチベーションを高めるよう心がけましょう。批判的なコメントよりも、改善点を示す際には前向きな表現を使用します。

相手の意見を尊重する
1on1は部下の意見を聞く貴重な機会です。相手の意見や感情を尊重し、対話を重視する姿勢を示すことで、信頼関係を築くことができます。

4-4.部下との信頼関係を築くために

部下との信頼関係を築くためには、1on1の時間を最大限に活用することが鍵となります。まずは、自分の意見や指示を一方的に伝えるのではなく、部下の意見を尊重し、彼らが自由に意見を述べられる環境を提供しましょう。また、部下の仕事に対する取り組み方や、職場での悩みなど、普段の業務で直接聞くことの少ない部分についても深く理解することが重要です。

さらに、部下の成長をサポートするために、具体的なフィードバックや助言を提供しましょう。部下の考え方や行動に対して、具体的な事例を挙げてフィードバックを行うことで、部下は自分の行動に対する具体的な理解を得ることができ、さらなる成長につながります。

信頼関係を築くためには、部下を尊重し、理解し、サポートすることが必要です。これらの要素は、1on1を通じて築くことができます。そのため、1on1の時間を有効に利用して、部下との信頼関係を強化し、部下の成長をサポートしましょう。

5.1on1実施後に取り組むべき事項

1on1のミーティングが終わっても、その後のフォローアップは欠かせません。1on1ミーティングはちょっとしたイベントのようなものであり、それが終われば自分の仕事に専念できるという誤解が広く見受けられます。年に1~2度会って話をするだけで終わりではありません。これはあくまでもプロセスにすぎないのです。何がうまくいっているのか、何を改善すべきなのか、必要な変更は何かについて、継続的な対話が必要なのです。

このミーティングは、経営者と社員の日々の業務や信頼関係を反映したものです。正しい理解のうえで行われていれば、驚くようなことは何もありません。最終的には、定期的に1on1ミーティングを行い、その際に出てきたトピックや問題について連絡を取り合うことで、次のミーティングの準備にかかる時間を短縮し、その間の時間を最も効率的に使うことができるのです。1on1ミーティングは“目標ではなく、正しい道を歩むための旅であること”と理解するのが成功の秘訣です。

6.まとめ

1on1ミーティングは、上司と部下が定期的に一対一で行う対話の場であり、組織全体の成長と従業員の満足度向上に欠かせない取り組みです。その目的はコミュニケーションの強化、キャリア開発の支援、モチベーションの向上、業務効率化と多岐にわたります。通常の面談と異なり、1on1は個別の成長や課題に焦点を当て、より深い対話を可能にします。

1on1の後には、ミーティングで話した内容や設定した目標を確認し、フォローアップすることが重要です。これにより、部下は上司の関心とサポートを感じ、モチベーションが向上します。

このように、1on1ミーティングは、上司と部下の間に強固な信頼関係を築き、組織全体の生産性を向上させるために不可欠な取り組みです。適切な頻度と場所での実施、具体的なフィードバックと目標設定、そして部下の意見を尊重することで、1on1の効果を最大限に引き出すことができます。

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