汚いデスクは年28万円の損!?5sの実践で叶える職場環境改善

現在の日本において、従業員の生産性向上が課題だと言われています。それと同時に働き方改革の必要性も叫ばれており、企業は全体的な職場環境改善を行って行かなければなりません。そんな中で今注目が集まっている「5s」、そして整理整頓の重要性についてご紹介します。

・デスク周りが散らかっている人
・ものを探すのに手間取っている人
・集中力が続かない人

💡こんな方におすすめです!

目次

1.なぜ職場環境を改善することが重要なのか

多くの人が子どものころから「机を片付けなさい。部屋を片付けなさい」と言われ続け、さらには大人になってからも「机が汚い人は仕事ができない」「職場のデスクの乱れは心の乱れ」と言われます。ときには、大きなお世話と反抗したくもなるでしょう。そんな時「乱雑なデスクは忙しさの象徴」「自分にとって何がどこにあるのかわかっていれば仕事に支障はない」、そんな理由で逃げていたりはしないでしょうか。

1-1.天才の机は汚い!?

天才の机は汚い、という事例を使って反論してくる人もいます。アインシュタインやスティーブ・ジョブスの机上や周りがモノが多く乱雑だったのは有名です。しかし、会社のデスクとアインシュタインのデスクは同列には語れません。アインシュタインはデスクや部屋がどれほど乱雑でも、どこに何があるかやそれぞれの関連性を完全に把握していたと言われていますが、会社のデスクは書類や道具も会社所有の公共物です。公共物は、誰もが簡単に効率的に使えてこそ価値があります。

1-2.職場の汚いデスクは年間28万円の無駄

たとえ一見したところのデスクが乱雑ではなかったとしても、書類を探すのに時間がかかる、もしくは本人しかわからない書類の整理や収納をしている社員がいる場合は、その非公開性と非効率性が会社全体の業績向上の邪魔をします。見かけのキレイさと職場の機能性は必ずしも一致しないだけでなく、こうした状況の職場は社内コミュニケーションにも支障をきたしている場合も多いです。何かしらを探す時間が1日30分あるとするなら、日本人の平均年収461万円(国税庁)を使って計算してみると、毎日1167円、1か月で10時間で2万3340円、1年間で120時間、ひとりあたりおよそ28万円の人件費が無駄になっています。

さらには、会社のデスクは、就業中の社員の身体に最も近い環境となることから、実は心身の健康にも影響を与えています。アメリカの大学の心理研究で行われた「机の状態」の調査では、机と机回りを整理整頓した状態に変えると、34%のパフォーマンス向上が見られたといいます。机を片づけてまっさらな何もない無機質にした状態と比べて、少しでも自分の好きな写真やモノを飾った場合では、パフォーマンスは17%向上しました。そのため、5sは非常に重要であると言えます。

2.5sの導入でできる職場の環境改善

2-1.5sとは

5sとは整理、整頓、清掃、清潔、躾を指し、職場の環境整備における要素をまとめたキーワードです。これは競争力強化への様々な創意工夫が行われてきた日本の製造業で生まれ、近年一般企業にも広く使用されています。5sの誕生には様々な説がありますが、その起源はトヨタ自動車だという説が有力です。日本の製造業で広く実践され、他の業界にも広がっています。

整理:不要なものを捨てること
整頓:使いやすく並べて表示をすること
清掃:きれいに掃除をしながら、あわせて点検すること
清潔:きれいな状態を維持すること
躾:きれいに使うように習慣づけること

5sに加えて、食品業界では「洗浄」「殺菌」を加えた7S、物流業界は「しつこく」「しっかり」を加えた7Sを取り入れていることもあります。

2-2.5sの目的

5sの目的は、単なる整理整頓ではありません。5sの徹底で無駄をなくし、時短、生産性向上、パフォーマンス向上、安全性確保、衛生面の改善を叶え職場環境改善を行うことです。その結果、エンゲージメント向上や利益向上を狙うこともできます。

3.割れ窓理論

「割れ窓理論」をご存じでしょうか。割れ窓理論とは、アメリカの犯罪学者によって理論づけされた、環境と犯罪の関係性を表したものです。「建物の窓が割れたまま放置されていると、誰も注意を払わなくなり、慣れが起こり、ほかの窓も割られていく」という現象の象徴で、環境の善し悪しが犯罪率や人の感情や行動に影響を与えるという考え方です。

有名なところでは、1994年にニューヨーク市長に就任したルドルフ・ジュリアーノ氏が、この理論を使ってまず徹底して行ったのが地下鉄や街中の落書きの清掃、タクシーの美化作戦です。その結果、当時蔓延していた地下鉄での犯罪や無賃乗車が激減、さらにはニューヨーク市全体の犯罪率が低下しました。

この割れ窓理論は、職場環境の改善にも同様に効果が出るとして適応されることも多いです。つまり片付かないデスクや書類、不良在庫や汚れたままの室内などが、いつからかだれも気にかけない当たり前の状態として慣習化されていき、そこから上司と部下のミスコミュニケーション、モチベーションの低下、業績低下への負の連鎖を起こしてしまうと言えます。

5sを活用することで職場環境がよくなり、このような悪循環から脱することができ、生産性向上、時間短縮、パフォーマンス向上、安全性確保、衛生面の改善が期待できます。また、モラルの向上も効果の一つで、従業員の心にもプラスの影響があります。その結果、社員幸福度の高い、いい職場環境が作れるのです。

4.導入のポイント・注意点

4-1.5s導入のポイント

5sの導入の具体的なポイントをご紹介します。
・整理
「整理」は単なる掃除ではなく、不要なものをなくし、必要なモノを明確にすることです。例えば、資料や伝票などを最新のモノにし、今いらないモノを片づける、処分します。文房具等の共有化をして、モノを減らすことも効果的です。

・整頓
無駄のない、仕事のしやすい置き方にすることです。作業動線を考え、一番使いやすく、無駄な動きをしなくても作業できる配置にします。

・清掃
清掃とは、整理整頓を習慣化し、きれいな状態を維持することです。整理整頓ができるようになっても、モノを元に戻さなければ意味がありません。またモノを元に戻す習慣が付けば、通常とは違う汚れに気づきやすくなります。
また、モノのメンテナンスもこれに含まれます。手入れをすることで、モノに愛着を持てるというメリットもあります。

・清潔
清潔とは、整理・整頓・清掃を行った結果、きれいな状態を保てている状態です。これには、働いている人の身だしなみも含まれます。また職場環境を清潔にする工夫も「清潔」の施策の一つです。例えば、汚れを見つけやすいよう、職場の床や壁、機材、設備を明るい色にしたりすることです。

・躾
職場の全員が、きれいな職場を作るという意識を持てるよう、教育することです。これには、精神論を説くのではなく「仕組みづくりや教育・指導を行うこと」が非常に大切です。一人ひとりが、いい職場環境を作りたいという意識を持てるような教育、システム作りが必要になります。

4-2.5s導入時の注意点

5sを導入するにあたって、以下の点に気を付ける必要があります。

・一過性にしない、標準化する
5sは一度導入して終わりにしないことが大切です。
継続的な活動として、定期的に見直しや改善を行い、常に整理整頓された環境を維持しましょう。

・すぐに効果が出ないことを理解しておく
5sは、導入後すぐに利益やエンゲージメントなど目に見える効果が現れるわけではありません。ですが、継続し少しずつ無駄を省くことで、生産性の向上など効果が現れます。

・プロに手助けも一つの策
多くの経営者が、外部のプロを導入した職場環境整備の改革をはじめています。職場の環境整備は、単なる掃除や片づけではなく、会社の未来を作る行動指針であり、経営戦略です。5sの実践に加え、全体的な職場環境改善策を策定することも必要です。

5.職場環境を改善する他の施策

5sだけでなく、職場環境をよくするための施策をいくつかご紹介します。

・コミュニケーションを改善する
社内のコミュニケーションを改善することで、組織がアクティブになります。社内のコミュニケーションからイノベーションが生まれたり、生産性が向上したりとプラスの効果が見込めます。しかし、コミュニケーションのツールが多すぎたり、リモートワークが普及したりと、現代ならではの課題も多いです。
この記事で詳しく解説しています。社内コミュニケーション取れていますか?活性化の方法や取り組み事例を紹介

・月曜の朝を楽しくする施策を実施
週末が終わり、また一週間の始まる月曜日、憂鬱な気持ちを抱く人も少なくないでしょう。「TGIM」という、一週間を前向きに捉えるための素晴らしいフレーズをご存じですか?TGIMの考え方を取り入れることで、社員の生産性向上、職場の雰囲気の改善、社員満足度とロイヤリティの向上というような、職場環境の変化が起こります。
詳しくはこちら:月曜の朝を楽しくする考え方「TGIM」を詳しく解説!

6.まとめ

5sは継続的な実施が必要ですが、その効果は職場全体に大きな影響を与えます。導入には多少時間がかかりますが、安全性の確保や生産性の向上など、結果的にそのコストを上回るリターンが望めます。
また、5sの導入には、それぞれの職場にあったやり方があります。あなたの職場の業務内容、環境、目的に沿って最適な施策を導入することが必要です。5sに加え様々な施策は、それぞれの職場にあったやり方で導入することによって、最大限の効果をもたらすことができるのです。

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