管理職の意識改革がチームのパフォーマンスを向上させる理由

AIなどの技術進化に伴い、職場環境は大きく変化しています。これからの企業の競争力を左右するのは、変化に適応し、人的資本を最大限に活用できる管理職の存在です。特に、女性活躍推進やダイバーシティの重要性が増すなか、柔軟なマネジメントと部下育成に取り組む管理職は、組織の成長に不可欠であり、昭和的な価値観に固執せず、現代の働き方を理解し受け入れる「管理職の意識改革」が求められています。本コラムでは、その必要性と具体的な方法を解説します。

・自身の意識改革の必要性を知りたい中間管理職
・組織の成長や変革を促進する施策を模索している人事部門の担当者
・意識改革の成功事例や失敗事例を学び、自社に適用したい経営層

💡こんな方におすすめです!

目次

1. 『変わらない管理職』こそ危険な理由

職場環境は日々変化しており、特に管理職に求められる役割も大きく進化しています。これからの時代、「変わらない管理職」「昭和型マネジメント」に固執している管理職こそ、企業から必要とされなくなる危険性が高まっています。実際、2024年に上場企業で行われた早期退職や希望退職の募集は1万人を超え、経営上の人的資本や業務効率、組織の変革プロセスを示す結果となっています(出典: 日本経済新聞「早期退職募集1万人超 上場企業の24年、黒字でも構造改革」2025年)。

特に50代の中間管理職にとって、今こそ意識改革が必要な時期です。長年積み上げてきた経験や方法論に固執することが、逆にリスクになりつつあります。例えば、従来のように指示命令型の管理手法や一方的なコミュニケーションを取ることが、現代の多様化した組織においては逆効果になることも多いです。従業員の意欲やパフォーマンスを引き出すためには、柔軟で適応力のあるリーダーシップが求められます。

今後、管理職として成功するためには、意識改革を実践し、変化に柔軟に対応できる力を身につけることが重要です。特に新しいテクノロジーや組織文化の変化に対応し、若い世代との橋渡し役を担うことが、これからの管理職には欠かせません。過去の成功体験に囚われず、柔軟で戦略的な思考を持つことで、変化に対応できる管理職へと成長できるのです。

2.『切られる管理職』の特徴とは?

特徴①:過去の成功体験に依存し、変化に適応しない

「昔はこれで成功した」という思考に固執し、時代の変化に適応できない管理職は、企業にとって不必要な存在となりがちです。特に、動きの速いビジネスの場において、変化を拒む姿勢はキャリアのリスクとなります。

例えば、企業の女性管理職登用やダイバーシティ推進に関連する施策に対して消極的な態度をとる管理職は、経営陣からの支援やエンゲージメントが得られず、信頼を失いやすくなります。今や、多様性を重視する組織が競争力を高める時代です。このような状況の中、時代に取り残された管理職は淘汰され、変化に適応できるリーダーが求められるのです。

特徴②:プレイヤーとしてのスキルがない、マネジメントだけをしている

現代の企業では、単なる指示出しや管理のみを行う管理職は、組織全体の効率向上を阻害するデメリットとなるため、具体的な人事研修や施策を実施し、経営としての視点からその役割を再定義する必要があります。AIおよびデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、マネジメント業務の在り方が大きく変わります。特に、プレイヤーとしてのスキルや現場で実践する力が欠如した管理職は、企業の変革を推進する上で、組織の人材エンゲージメント向上という観点からも大きなデメリットを抱え、結果として重要な活躍の機会を逃す要因となりかねません。今求められているのは、自らも手を動かし、実務に貢献できる管理職です。管理職自身が意識改革を行い、変化を受け入れながら学び続ける姿勢が不可欠となっています。

特徴③:現場感覚が欠けており、部下の信頼を失っている

現場感覚を欠いた管理職は、組織の成果に悪影響を及ぼす傾向があります。部下の意見を軽視し、マネジメントと現場のギャップが拡大すると、育成という目的が達成できず、企業全体の変革に向けたプロセスが停滞する可能性が高まります。実際、部下の成長やキャリア支援を怠る管理職のもとでは、優秀な人材が流出し、組織の生産性が低下します。さらに、ハラスメントや不公平な評価を行う管理職は特に問題視されやすく、企業のコンプライアンス強化の流れの中で排除される可能性が高まっています。

HR総研の調査によると、回答者の約90%が「心理的安全性の確保は非常に重要である」または「どちらかというと重要である」と考えており、部下との信頼関係を築けない管理職の評価は低下しています。 まさに管理職の意識改革が求められており、現場との対話を重視し、部下の成長を支援できるかどうかが、今後のキャリアを左右する重要な要素となるでしょう。変化に適応できる管理職こそ、企業にとって必要不可欠な存在となるのです。

3.『会社に残れる管理職』の特徴とは?

特徴①:変化に柔軟に対応し、時代の流れを理解できる

変化に柔軟に対応し、時代の流れを理解できる管理職は、企業にとって貴重な存在です。AI技術の進展や女性活躍推進、ダイバーシティの重要性を認識し、経営の方向性に沿った行動が求められます。実際、政府は2024年11月、従業員101人以上の企業に対し、女性管理職比率の公表を義務化する方針を示しました。これに伴い、該当する企業は女性管理職比率の引き上げを目指しています。このような背景から、女性活躍推進や多様性を支援する管理職は、今後の企業にとって不可欠な人材となり、重要な立場を確保できるでしょう。ダイバーシティ推進を支援することが、組織の成果に直結することを理解し、行動に移すことが求められます。

かつては『寿退社』や『年功序列の定期昇給』が当たり前の時代で、安定した職場が最も重視されていました。しかし、物価高や増税が重なる中、若手世代や子育て世代にとっては、当然ですが昭和的な価値観は持ち合わせていません。もし、いまだに昭和的価値観を捨てきれないリーダーがいるならば、まずはその昭和的な意識を改め部下に寄り添い信頼関係を築き、彼らの成長を支援することが不可欠です。部下の潜在能力を引き出すリーダーシップが、企業全体の活力に繋がり、人的資本の向上を通じて持続可能な成長を実現します。

特徴②:プレイヤーとしてのスキルも持ち、現場と連携できる

現代の企業において、変化に柔軟に対応し、時の流れを敏感に認識する管理職が求められています。その理由はDXを活用した新たなマネジメントプロセスの確立にあります。デジタルツールを駆使し、現場と連携して業務に関与できる管理職こそが、企業にとって貴重な存在です。これからの時代、形式的な指示に留まるのではなく、自身で具体的な行動を起こし、現場でのリーダーシップを実践する管理職が必要とされ、そうした行動は経営や部下にも好影響を与えます。「自分は管理職だから現場には関わらない」という態度ではなく、現場感覚を持ちながら動ける人材が重要です。

特徴③:部下のキャリア支援に積極的で、部下の信頼を得ている

企業の多くでは、男性中心の昇進・昇格システムが根強く残り、女性の管理職登用が想定されていないケースが少なくありません。また、若手社員は自身のキャリアを主体的に選択し、成長機会を重視する傾向が強まっています。このような状況の中で、管理職は部下のキャリアパスの可視化と柔軟な支援体制の整備が必要になります。昭和世代の働き方は、終身雇用を前提とした長期的な人材育成が一般的でした。しかし、今は転職が一般化し、副業・複業も認められるなど、仕事の選択肢が大きく広がっています。このような取り組みが、部下の信頼を築き、組織のパフォーマンス向上に繋がります。

また、女性社員の成長を支援する管理職が企業内で高く評価される時代となり、リーダーシップを発揮するためには、性別に関わらず平等にキャリアを築ける環境を作ることが重要です。特に、部下の声に耳を傾け、ライフステージに応じた柔軟な働き方を支援することが、寄り添ってくれる管理職として評価されます。今の若手は、支援的で柔軟な対応をしてくれる上司を求めています。いわゆる『上司ガチャ』に失敗したと感じる部下は、躊躇なく職場を去ることでしょう。同じ部署で新人がすぐに辞めてしまう、定着しないという傾向があるならば、管理職の意識改革が必要なのかもしれません。

4.生き残りをかけた『管理職の意識改革』

4-1.女性活躍推進が企業業績に与える影響

企業における女性活躍推進が加速している背景には、少子高齢化による労働力不足や社会的な意識の変化、政府の政策が影響を与えています。日本国内でも、女性の社会進出を促進するための施策や法整備が進み、企業もその流れに対応せざるを得ない状況です。特に、企業業績に与える影響を無視することはできません。実際に、マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によれば、経営陣の性別多様性が高い企業は、そうでない企業と比較して収益性が平均25%高いと報告されており、女性活躍が企業の競争力向上に不可欠であることが証明されています。この流れの中で、「女性活躍推進」を支援できる管理職の重要性が高まっています。経営の方向性を理解し、組織全体で女性のキャリア支援や管理職登用を推進できることが求められます。企業が掲げる目標に対応し、具体的な施策を推進する能力を持つ管理職こそが、今後の組織成長を支える鍵となります。

4-2.女性活躍推進を無視する管理職は敬遠される

逆に、女性活躍推進を軽視し、「自分には関係ない」と考える管理職は、組織から敬遠される可能性があります。現在、多くの企業が女性活躍を重要視しており、「女性管理職登用の増加」を目標に掲げています。この目標を達成するためには、管理職が積極的にその推進に関与し、部下の女性社員の成長支援やキャリアパスの構築を支援することが求められます。もし、これらの取り組みに無関心でいると、その管理職はリストラの対象となる危険性が高くなります。

特に、女性活躍推進のトレンドが今後ますます強まることは間違いなく、そのために必要なスキルを持つ管理職が求められます。具体的には、管理職自身の意識改革が不可欠です。これには、現場での具体的な行動や意思決定が含まれます。部下の女性社員を理解し、成長の機会を提供するだけでなく、経営陣と連携して女性活躍推進の戦略を立案・実行する能力も求められます。これは、単に女性社員の昇進を支援することだけでなく、組織全体でダイバーシティを進め、業績向上に貢献するための重要なスキルです。

4-3.企業文化改革と管理職の意識改革が成功のカギ

帝国データバンクの「女性登用に対する企業の調査調査(2024年)」によると、女性管理職の割合が上昇しない要因や課題という質問に対し、「家庭と仕事の両立のしづらさ」が50%を超えました。次いで、「日本社会の性別役割分担意識の存在」(38.5%)、「女性従業員が昇進を望まない」(36.2%)が続きました。この結果から、企業は人事制度や企業文化を変えていかないと女性活躍は進んでいかないと言えます。 

女性活躍推進を成功させるには、文化や風土の改革が不可欠です。特に、育児休業後の職場復帰や柔軟な働き方の整備は、女性社員だけでなく、育休を取得した男性社員の働きやすさも向上させ、企業の長期的な成長にもつながります。男性が育休を取得することは出世競争からの脱落を意味する……。もはやそんな時代ではありません。在籍年数で評価されるのではなく、男女共に能力が評価される環境作りを推進できる管理職が必要なのです。

また、リーダーシップを発揮し、組織全体を動かせる管理職が求められています。部下の成長を支援し、男女を問わず活躍できる職場を作ることが、企業の競争力向上に不可欠です。「女性活躍推進は自分には関係ない」と考える管理職は、時代の変化に適応できず、企業における役割を失うリスクがあります。女性活躍推進は単なる社会的な流れではなく、企業競争力を高める重要な要素です。これを推進できるスキルを持つ管理職が、今後ますます求められます。管理職自身が意識改革を進め、組織の成長を支える存在となることが、持続可能な企業の未来を築く鍵となるでしょう。

5.『変わらない管理職』と『変化に対応できる管理職』がどれだけ違うのか?

5-1.成果に大きな差が生まれる

企業において『変わらない管理職』と『変革に対応できる管理職』では、業績に大きな差が生まれます。特に、デジタル化の進展や業務の効率化が加速する現代において、変化に対応できる管理職は企業の競争力を高め、業績向上に大きく貢献します。例えば、デジタル技術の導入により業務の効率化が進んだ企業では、従業員の生産性が向上し、競争力を維持しています(出典: 経済産業省「DXの影響と企業成長」2024年)。このような成果は、変化を受け入れ、率先してデジタル化や業務改革に取り組む管理職が存在する企業においてこそ実現するものです。

一方、『変わらない管理職』は、業務の効率化や新しい技術への対応を怠り、企業の成長を妨げる原因となります。結果的に、競争力の低下を招き、最終的にはリストラや早期退職の対象になることが予想されます。実際に、企業の25%以上が管理職の業務改革を進めており、変化に適応できない管理職は淘汰されかねません(出典: 経済産業省「企業改革に向けた取り組み」2024年)。このように、適応力が求められる時代において、変化を拒む管理職は企業にとっても負担となり、存続が難しくなるでしょう。そのため、管理職の意識改革が今の管理職にとって必要なのです。新しい時代の経営環境に適応し、変化を受け入れることで、業績向上に寄与できる管理職が求められています。

5-2. 部下やチームの成長に差がつく

『変わらない管理職』と『変革に対応できる管理職』という2タイプの差は、部下やチームの成長に及ぼす影響の理由となり、人的資本の向上という重要なポイントに直結します。特に、部下を育成しキャリア支援を行う管理職は、的確なマネジメント及びメンタルサポートを通じてチームの士気やエンゲージメントを高め、具体的な成果を上げるという重要な役割を担います。これにより、組織全体のパフォーマンスが向上し、企業の競争力を強化できます。

一方で、変化を拒む管理職がいる組織では、部下のエンゲージメントが低下し、育成の停滞とモチベーションの下落といったデメリットや課題が発生するため、現場での人事対応が必要とされます.結果として、企業の成長が鈍化し、業績の低迷を引き起こす可能性が高まります。経営におけるデジタル変革が進むなか、こうした管理職の意識改革は避けて通れません。

このような背景から、今後の企業経営に求められるのは、管理職の意識改革です。変革に対応できる管理職は、部下のキャリア支援を積極的に行い、組織全体の成長を促進します。これにより、企業は競争力を維持し、持続的な成長を実現できるのです。

6.まとめ:もはや変わらないことがリスク

企業の環境は日々変化しており、その変化に適応できるかどうかが管理職の生き残りに直結する時代となっています。特に、女性活躍推進やダイバーシティの重要性が増す中で、管理職にはこれらの推進に積極的に関与することが求められます。変化に柔軟に対応できない管理職は、組織から取り残され、企業の成長を妨げることとなるでしょう。

女性社員のキャリア支援やダイバーシティの推進に力を入れる管理職は、企業にとって価値のある存在です。このようなリーダーシップが企業の競争力を高め、組織全体を成長させる鍵となります。一方、変化を受け入れられない管理職は、組織の停滞を引き起こす可能性があります。

将来の企業発展を実現するには、デジタル時代に即した管理職 意識改革型のリーダーシップが、経営上の重要なポイントとして必要です。部下を育成し、変化に対応しながらチームをまとめ、企業の方向性に沿った形で進むことが求められます。これを実現できる管理職が、今後の企業で生き残り、組織を牽引していく存在となります。

企業は従来の方法に固執することなく、新しい価値観や多様性を取り入れた組織作りを進めるべきです。それを実現できる管理職こそ、組織にとって欠かせないリーダーです。当社では、戦略人事の観点から管理職の意識改革をサポートし、組織の成長と競争力強化に貢献できるリーダーシップの構築をお手伝いしています。変化の波を共に乗り越え、未来を切り開く管理職を育成するための支援を提供いたします。

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