社員エンゲージメントのさらに先、社員幸福度とは?!

目次

社員エンゲージメントは、従業員の会社への貢献度や理解度、共感度を表すものとして知られていますが、社員幸福度はまた違う意味を持っていることはご存じでしょうか。社員エンゲージメントと社員幸福度は密接に関連しており、幸福度の向上は生産性や創造性の向上につながることが研究で示されています。この記事では、社員エンゲージメントと社員幸福度の関係や幸福度の測定方法、そして組織に与える影響について探っていきます。

1.社員エンゲージメントの基本

➀ エンゲージメントとは何か?

社員エンゲージメントとは社員が仕事や組織に対して強い関与や熱意を持ち、自発的に能力を発揮し、組織の目標や価値に共感し、積極的に貢献しようとする状態を指します。つまり、社員エンゲージメントは、彼らが組織に対してどれだけ関わり、貢献しようとするかを示すものです。エンゲージメントは、社員の満足度だけでなく、彼らが感情的に、知的に、物理的に仕事に参加し、組織の成功に対し積極的に貢献しようとする度合いを包括しています。

➁ エンゲージメントの重要性

社員のエンゲージメントが高い組織では、社員は組織のビジョンやミッションに共感し、組織の成功に対して責任感を持って行動します。また、積極的に問題解決に取り組み、自己成長や自己実現を追求しようとします。さらに、組織に長く貢献し続ける傾向があり、離職率も低下します。エンゲージメントの向上は、組織の持続的な成功につながるのです。

③ エンゲージメントを高める要素

エンゲージメントを高めるためには、以下の要素が重要です。

  1. リーダーシップ:エンゲージメントを高めるためには、組織のリーダーが社員に対してビジョンやミッションを明確に伝え、サポートし続けることが必要です。リーダーシップの質がエンゲージメントに大きな影響を与えます。

     

  2. コミュニケーション:社員とのオープンなコミュニケーションがエンゲージメントを高めます。社員自身が自分の意見やアイデアを自由に発言できる環境を作り、フィードバックする姿勢も重要です。

     

  3. 認知と報酬:社員の成果や努力を適切に評価し、認知することでエンゲージメントが高まります。公正な報酬体系やインセンティブ制度を導入することも効果的です。

     

  4. 働きやすい環境:社員が働きやすい環境を提供することもエンゲージメントを高める要素です。柔軟な労働時間やワークライフバランスへの取り組み、キャリア開発の機会などが含まれます。

2.エンゲージメントから幸福度へ

➀ エンゲージメントと幸福度の関係

社員エンゲージメントと社員幸福度(ウェルビーイング)は密接に関連しており、相互に影響し合っています。

社員エンゲージメントとは「働きやすさ」であり、福利厚生や休暇制度、オフィス環境の良し悪し、給与額、労働時間などからくる働きやすさを指します。一方、社員幸福度(ウェルビーイング)は、「働きがい」です。自身の働きに対して公平な評価や対価、ポジションを得られているか、仕事で達成感や成長を実感できるか、職場で意見しても疎外されず受け入れられる安心感を感じられるかなどを指します。

➁ エンゲージメントが幸福度に与える影響

次に、エンゲージメントが社員の幸福度に与える影響について挙げていきます。

  • 満足度と幸福感、双方の向上:エンゲージメントの高い社員は、仕事に意義を見出し、組織の目標に向かって貢献することで達成感を得ることができます。そのため、幸福度が高くなることがあります。
  • ストレスの軽減:エンゲージメントの高い社員は、自らの仕事をコントロールできるため、ストレスの軽減につながり、幸福度が向上します。
  • ポジティブな効果:ポジティブな空気は伝播すると言われています。エンゲージメントが高い社員は、楽観的でポジティブなため、彼らの周囲の環境や人間関係もより穏やかになります。
  • 仕事への没頭:エンゲージメントが高い社員は、仕事に没頭するようになり、自らの能力をフルに発揮しようとします。その結果、成果に対する喜びや達成感を得やすく、幸福度が高まります。
  • 努力と報酬:エンゲージメントが高い社員は、より良い成果を挙げようと努力します。その結果、その努力や成果が認められ、評価されることで報酬も上がり、幸福度が高まります。

このように、エンゲージメントと幸福度の関係を理解し、それぞれの要素を向上させる取り組みを行うことで、組織はより持続的な成功を収めることができます。

➂ 幸福度を高めるためには

社員幸福度を向上させるためには、以下の5つの要素が重要です。

・キャリア:仕事だけでなく、家事や育児、趣味など私生活も含めて充実しているか。

従業員が仕事とプライベートの両方を充実させることができるような柔軟な労働時間や休暇制度を構築することです。これにより、従業員はストレスを軽減し、幸福感を高めることができます。

・人間関係:自分を取り巻く人々と良好な人間関係が構築できているか。

従業員とのオープンなコミュニケーションを促進し、定期的にフィードバックも行います。従業員が自身の意見や懸念を伝え、組織がそれに対応することで幸福度が向上します。

・経済状況:経済的に安定しており、効率的な資産管理・運用ができているか。

自分のパフォーマンスが適正に評価されているかどうかで、幸福度は変わります。給与に公正な報酬体系を整備し、従業員の成果を適切に評価します。従業員は自身の努力が認められることで幸福感を得ることができます。

・心身の健康:心身ともに健康でいきいきしている。

必要なリソースやサポートを提供し、従業員が仕事に集中できる環境を整えます。これにより、従業員はストレスを軽減し、幸福度が向上します。

・地域社会とのつながり:自分が属しているコミュニティーに貢献している、つながっている感覚があるか。

会社や地域社会、趣味の活動などの場で、自分は必要とされている、コミュニティーに貢献していると感じることで幸福度は上がります。

これらの要素を組織全体で取り組むことで、社員の幸福度を向上させることができます。幸福度の向上は、従業員のモチベーションや生産性を高め、組織の持続的な成功につながります。

3.幸福度の深掘り

➀ なぜエンゲージメントだけではなく幸福度が必要なのか

社員エンゲージメントは、従業員が職場環境や待遇にどれだけ満足しているかを測る指標です。一方、社員幸福度は、仕事に対する情熱や充実感、生活全般の幸せを含む、より広範な指標です。エンゲージメントが高ければ必ずしも幸福であるとは限らず、逆もまた然りです。したがって、両方を向上することで、組織の健全性や生産性が高まります幸福度の高い従業員は、より創造的で、生産的、そして忠誠心が高いと言われています。したがって、社員の幸福度を測定し、向上させることは、組織の成功に直結します。

➁ 幸福度を測る方法

幸福度を測るには、さまざまなアプローチがあります。1on1や適性検査などでも社員幸福度を測ることはできますが、一般的な方法としては、定期的なサーベイを実施することです。

サーベイでは、従業員が仕事に対してどれだけ満足しているか、幸福感を感じているか、感情という目に見えないものを数値化することができます。また、質問をカスタマイズすることで、従業員が自身の成長や自己実現を追求できるか、仕事に対する意欲が高いかをさまざまな角度から調べることもできます。加えて、定性的なデータを収集するために、面談やフィードバックセッションを行うことも有効です。これにより、従業員個人の幸福度について深く理解することができます。

また、組織全体の幸福度を評価するために、生産性や離職率、従業員のエンゲージメントの指標を使用することもあります。これらのデータを分析することで、組織の幸福度の傾向や課題を把握し、改善策を立てることができます。

幸福度を測るためには、従業員の声を積極的に収集し、それに基づいてアクションを起こすことが重要です。従業員が自身の幸福度を認識し、組織がそれをサポートすることで、より満足度の高い働き方を実現することができます。

以上のように、社員幸福度を測定する方法はさまざまです。自社に最適な方法を見つけるためには、調査目的や予算などを考慮して検討することが必要です。また、調査結果だけではなく、調査後の改善策も重視して実施することが大切です。

➂ 個人と組織における幸福度の重要性

個人と組織の幸福度は密接に関連しており、相互に影響し合っています。

個人の幸福度が高いと、仕事に対する意欲やエネルギーが向上するので、生産性が高まるだけでなく、創造的なアイデアを出すようになりイノベーションも高まります。また、ストレスや不満が軽減され、心身の健康にも良い影響を与えます。

一方、組織は従業員の幸福度の向上に積極的に取り組むことで、生産性やパフォーマンスを上げることができます。幸福度の高い従業員は、組織のビジョンや目標に共感し、組織の成功に対する責任感を持って行動します。さらに、組織が従業員の働きやすい環境や成長の機会を提供することで、従業員はより仕事への責任感や働きがいを感じるようになります。

個人と組織の幸福度は相互に影響し合っており、組織全体の成功にも大きな影響を与えます。組織は従業員の幸福度を重視し、働きやすい環境や成長の機会を提供することで、生産性やパフォーマンスが向上、仕事に対する意欲が上がり、さらに働きがいを実感するようになります。個人と組織の幸福度の関係を理解し、それぞれの要素を向上させる取り組みを行うことが、組織の持続的な成功につながると言えます。

4.幸福度が組織に与える影響

① 生産性の向上

社員幸福度が上昇すると、生産性も向上するというのは周知の事実です。

幸福度の高い社員は、仕事に対してやりがいを感じ、モチベーションが高く、積極的に仕事に取り組むことに喜びを感じます。すなわち仕事に対してのストレスや不満が少なく、心身の健康状態が良い人達です。

そのため、新たなアイデアや解決策を積極的に提案するので、組織のイノベーションや競争力の向上につながります。また、彼らは他のメンバーとのオープンなコミュニケーションやコラボレーションを行うため、情報共有や問題解決がスムーズであり、効率的に業務に取り組みます。幸福度の高い社員は成長やキャリアの発展を重視するため、彼らの成長をサポートするための研修やキャリア開発プログラムを提供することで、彼らはより働きがいを感じ、生産性向上のサイクルが確立します。

② 幸福度の高さと離職の低さ

社員幸福度が高い組織では、離職率が低下します。

幸福度の高い従業員はストレスや不満が少ない傾向にあります。
組織が従業員の働き方やワークライフバランスをサポートする制度や環境を整備することで、従業員は心身の健康を保ちながら働くことができるからです。人々は報酬や人間関係、職場環境に対する不満やストレスを改善しようと転職を考えます。
ストレスや不満が低下すれば、必然と社員は組織に留まることを選びます。組織が従業員の幸福度を重視する姿勢を示すことで、従業員は組織に対する信頼感を持ち離職率の低下につながります。

③ 創造性・クリエイティブ力の向上

幸福度の高い社員は、創造性やイノベーションの向上につながるとされています。幸福度が高い社員は、仕事に対するモチベーションが高まり、自己成長や自己実現を追求する傾向があります。以下に、幸福度と創造性・イノベーションの関係についての事例を示します。

  • Googleは幸福度の向上を重視しており、社内の創造性やイノベーションを促進するために様々な取り組みを行っています。例えば、従業員が個々のプロジェクトに取り組むための”20% Time”という制度を導入しており、従業員は自身の興味や関心に基づいて自由なプロジェクトに取り組むことができます。この制度により、従業員は自主性と創造性を発揮し、革新的なアイデアやプロダクトを生み出しています。

  • 幸福度の高い社員は、創造性やイノベーションにおいて高いパフォーマンスを示すという研究結果があります。例えば、ミシガン大学の研究によると、幸福度の高い社員は問題解決能力や創造性が高く、組織全体のイノベーションに寄与することが示されています。また、オックスフォード大学の研究によると、幸福度の高い従業員は創造性のパフォーマンスが向上し、組織内のイノベーション活動に積極的に参加するという結果も報告されています。

これらの事例からわかるように、幸福度の高い社員は創造性やイノベーションの向上に貢献します。幸福度の高い社員は自己成長や自己実現を追求し、仕事に対する情熱を持って取り組みます。組織は幸福度の向上を図るために、従業員の意見やニーズに対して積極的に対応し、創造性やイノベーションを促進する環境を整えることが重要です。

④ 幸福度と顧客満足度

社員幸福度の向上は、顧客満足度にも大きな影響を与えます。幸福な社員は、仕事に対するモチベーションやエネルギーが高いため、より積極的に仕事に取り組み、顧客に対して高品質なサービスや製品を提供しようと、彼らは顧客のニーズや要望を理解し、自身の経験や知識を活かして顧客に最適な解決策を提示しようと努力します。

そして顧客は幸福度の高い従業員を信頼できるパートナーとして、より良い顧客体験を求めます。幸福な社員は顧客の信頼を得ることができ、顧客の信頼は顧客満足度を高め、組織の評判やビジネスの成果にも影響を与えます。

5.まとめ

本記事では、社員エンゲージメントと社員幸福度の関係について探求しました。

社員エンゲージメントとは「働きやすさ」であり、福利厚生や休暇制度、オフィス環境の良し悪し、給与額、労働時間などからくる働きやすさを指します。一方、社員幸福度(ウェルビーイング)は、「働きがい」です。自身の働きに対して公平な評価・対価やポジションを得られているか、仕事で達成感や成長を実感できるか、職場で意見しても疎外されず受け入れられる安心感を感じられるかなどを指します。

社員エンゲージメントと社員幸福度は密接に関連していますが、エンゲージメントが高ければ必ずしも幸福であるとは限らず、逆もまた然りです。したがって、両方を向上することがとても大切です。
エンゲージメントと幸福度の関係を理解し、それぞれの要素を向上させる取り組みを行うことで、より持続的な成功を収めることができるようになるのです。

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