社内コミュニケーション取れていますか?活性化の方法や取り組み事例を紹介
目次
社内コミュニケーションは仕事を進めていくうえで欠かせない要素です。しかし、幅広い年齢層や人員の構成、リモートワークの導入など多様な社内環境によって、社内コミュニケーションが取りにくく、活性化に課題感を持っている経営陣や担当者もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、社内コミュニケーションを活性化することの重要性や得られるメリット、活性化に成功した他企業の事例などについてお伝えしていきます。
1.社内コミュニケーションとは
社内コミュニケーションとは、文字や言葉を使って社員同士でコミュニケーションをとることです。仕事中のふとした瞬間や休憩時間の雑談、仕事に関わる情報の交換や共有、上司から部下への指示、部下から上司もしくはチーム内での報告・連絡・相談など、さまざまなケースがあります。社内コミュニケーションをとることによって、社員同士がお互いのスキルや知見を共有できることで社員の成長につながるきっかけになります。また、社内コミュニケーションによって横のつながりだけでなく縦のつながりができることで、組織がアクティブになり発展していきます。
2.社内コミュニケーションの重要性とメリット
なぜ社内コミュニケーションが重要と言われるのでしょうか。社内コミュニケーションの活性化は、企業がビジネスを成功させる基盤となる取り組みです。そのため、社内コミュニケーションの活性化に力を入れている企業も多く存在します。ここでは、社内コミュニケーションの活性化がもたらすものとして挙げられる「新しいイノベーションの創造」、「モチベーションアップ」、「生産性の向上」、「顧客満足度のアップ」、「離職率の低下」について考えていきます。
➀ 新しいアイデア、イノベーションの創造
社内コミュニケーションが活発で、誰もが意見を言いやすい環境ほど、小さなコミュニケーション(他愛ない会話、雑談)といった、ふとしたきっかけで斬新なアイデアや新しいイノベーションが生まれるのです。会議でいつも社員が下を向いて委縮してしまっている、いつも同じ人しか発言しないような企業は、社内コミュニケーションがうまく機能していない職場環境であり、新しいアイデアどころか、視点が偏ってしまいます。社内コミュニケーションは、新たなイノベーションを生むきっかけになるので、どんどん活性化していくことをおすすめします。
➁ モチベーションアップ
社内コミュニケーションの足りない職場では、発言してもどうせ話を聞いてもらえない、自分は信頼されていないと感じており、仕事へのモチベーションも低下します。社内コミュニケーションが活発な仕事環境では、いつでも周りの人に質問や相談ができるため、人間関係のトラブルを回避しやすくなるだけでなく、さらに自分の意見に耳を傾けて受け止めてくれる、アイデアを聞いてもらえると感じるようになり、仕事にやりがいを感じ、モチベーションがあがります。
➂ 生産性の向上
社内コミュニケーションが活発で円滑な職場では、報告、連絡、相談などがスムーズになります。いわゆる“報連相(ほうれんそう)”がしっかりできていれば、ミスにいち早く気付くことができ、お互いにフォローしあえるので、トラブルが減ることになりますし、掴んだビジネスチャンスを逃さなくなります。ミスを未然に回避できたことで達成感を感じることができ、チームワークもよくなります。チーム内の人間関係も成熟し、お互いがよい刺激になり、知識やスキルの向上につながりマネジメント効率もアップします。このような理由から、社内コミュニケーションが活性化すると、生産性が向上するのです。
➃ 顧客満足度のアップ
コミュニケーションは社員同士の個人対個人だけではなく、部署単位でのコミュニケーションの活性化も必要です。例えば縦割り組織で他部署からの情報はシャットアウトしてしまうような風通しの悪い環境では、機会損失をしているのと同義です。社内コミュニケーションの活性化により、部署間の連携が良くなることで情報共有ができるようになれば、他部署による別目線でも顧客ニーズをくみ取れるようになります。日ごろから自分の部署だけでなく、いろいろな人とコミュニケーションを持つことで情報や知見を集めることができ、自身のコミュニケーション能力にも磨きをかけることができるでしょう。
➄ 離職率の低下
チームメンバー同士や新入社員と上司との間で、円滑なコミュニケーションが取れることによって、双方の間で人間関係の結びつきが強くなり、信頼関係も構築されます。どんどん社内コミュニケーションが活性化すると、お互いに意見が言える風通しのよい環境になります。すると社員のストレスも減るだけでなく、帰属意識が高まり社員エンゲージメントがあがることで、離職率が下がるのです。離職率が低下することで、会社のイメージアップにもつながりますので、社内コミュニケーションの活性化は、結果的に会社に利益をもたらすことになります。
3.社内コミュニケーションの課題
各企業によって、社内コミュニケーションに関する課題を抱えているのではないでしょうか。ここではよくある社内コミュニケーションの課題として、「コミュニケーションツールが多すぎる」、「情報共有の不満」、「言葉の壁」、「リモートワークに伴う課題」について考えていきます。
➀ コミュニケーションツールが多すぎる
コミュニケーションツールと一言で言っても、社内SNSやビジネスチャット、グループウェア、社内Wiki、Webミーティングシステムなど、さまざまな種類があります。もちろん、各々のツールでその目的や機能、操作性も違います。そのため、社内で導入しているツールが多すぎてうまく使い分けができないことや、シニア層などパソコン操作が苦手な社員にとっては、操作がうまくできないなどの悩みや問題があります。また、社内共通で使うもの、チーム内で目的は同じだけれども別々のツールを使用しているケースもあります。その場合、情報が分散してしまい、管理しきれないという状況に陥ってしまいがちです。
➁ 情報共有の不満
ビジネスシーンで情報共有がうまくできないと、「言った言わない」の問題やトラブルになってしまうことがよくあります。これは社内・社外問わず、コミュニケーションの行き違いから発生する事案で、上司によって言っていることが違う、お客様にはAと言われたのに、社内ではBという認識になっているなどがあります。
原因として記録に残っていないことや認識のずれなどが挙げられますが、その根底には社内コミュニケーション不足が潜んでいます。何を伝えて何を伝えてないか、責任の所在を明確にするためにも、積極的な社内コミュニケーションが必要です。このような状況でコミュニケーションがうまくいかないと、お互いの信用を失いかねません。
➂ 言葉の壁
多様性が進む中、普段使う言語が異なるメンバーとのコミュニケーションが取りにくくなってしまうことはありませんか。翻訳アプリは頼りになりますが、場合によっては翻訳アプリでは細かいニュアンスに対応しておらず、結果的に話がうまく伝わらなかったというようなケースがあります。また、職種によっては専門用語を多数使用するところもあります。別職種のメンバーとのミーティングなどの機会に、同業メンバーと話す感覚で、ついいつものように専門用語を交えてしまうと相手はその意味が分からず、コミュニケーションが成立しなくなることもあります。
➃ リモートワークに伴う課題
リモートワークには通勤の負担がなくなる、優秀な人材を確保しやすい、コストの削減などのメリットがありますが、最大のデメリットの一つに社内コミュニケーション不足に陥りやすくなるという課題があります。オフィス勤務では休憩時に業務には関係しないたわいない会話を楽しんだり、相手のタイミングを見て質問などを投げかけたり話しかけることができましたが、リモートワークの場合はメンバーの状況が計れないため、雑談のような気軽にできるコミュニケーションが取りにくい状態にあります。
4.社内コミュニケーションを改善するための方法
では、社内コミュニケーションを改善し、活性化していくにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、適切なツールの導入、情報共有のルール設定、社員間の距離を縮める取り組み、リモートワークに適したコミュニケーション方法の模索について触れていきます。
➀ 適切なツールの導入
ビジネスコミュニケーションツールは、メールよりも開封率が高く、情報共有にも便利な機能があり重宝している会社も多いのではないでしょうか。しかし、とりあえず導入すればよいというものではありません。社内のコミュニケーションを活性化するツールは、たくさんの種類のものがリリースされているため、選定が難しくもあります。せっかくコストと時間をかけて導入するのに、のちに使いこなせないということになってしまっては、これまでの労力を捨てることと同じです。社内コミュニケーションツールの導入を検討する際は、予算も含め、その使用目的や機能、使い心地やサポートなどに応じて選びましょう。
➁ 情報共有のルール設定
とりあえず共有すれば何とかなるだろうという緩い姿勢では、社内コミュニケーションの活性化以前にコミュニケーションの混乱を招く恐れがあります。優先順位や期限、他の業務への影響、内容を理解しているかなど、社員がしっかり把握するための基準・ルールを整備しましょう。
➂ 社員間の距離を縮める取り組み
- 社内イベント
忘年会や新年会、創立記念イベント、社内運動会、ファミリーデーなどの大規模なものから、ゲーム大会やシャッフルランチ、映画鑑賞会などの小規模なものまで、リアルで対面するイベントだけでなくオンラインでもできる社内イベントが多数あります。 - 社内報
社内報の閲覧によって、会社や他の部署がどのような方向に向かっているのか、どのような取り組みをしているのかをキャッチすることで、社員エンゲージメントを高めたり、インナーブランディングのツールとして効果的です。 - 社内サークル・部活
サークル・部活動を設立し、会社が活動を支援するのも社内コミュニケーションの活性化に役立ちます。例えばゴルフや野球、サッカー、ジョギング、ゲームなど共通の趣味を持つ社員たちが集まり活動することで、社員同士の距離がぐっと縮み、社内コミュニケーションが活性化します。
➃ リモートワークに適した社内コミュニケーション方法の模索
リモートワークになると、どうしても閉鎖的になってしまいがちです。対面では当たり前のように顔を突き合わせて会議していたのに、リモートだと顔を出したくない気持ちに駆られる人も多いのではないでしょうか。社内ミーティングなどでは、可能な限りカメラをオンにして顔を出すようにしましょう。また、バーチャルオフィスの導入で距離感を縮めたり、シャッフルランチ、ゲーム大会などオンラインで交流できる機会で顔出しに慣れるのもよいでしょう。
社内コミュニケーションを活性化させるには、社員同士が対面で会う機会を作ることも必要です。例えば、忘年会や新年会、歓送迎会などの各種イベントを行い、社員同士が対面することで、オンライン上ではわからない“その人の醸し出す雰囲気”を感じとることができます。その人の雰囲気を知ることで、相手とのコミュニケーションの取り方も変わります。
5.社内コミュニケーション向上のための取り組み事例
どのようなことをしたら、社内コミュニケーションが活性化するのでしょうか。社内でのコミュニケーションの活性化について、頭を悩ませている担当者も少なくないはずです。ここでは、社内コミュニケーションが活性化した企業の取り組みの事例を紹介します。
➀ 企業Aの社内コミュニケーション事例
従業員参加型『健康』イベントの開催
A社は、経済産業省主導によって設立された優良な健康経営を実践している企業を評価する「健康経営優良法人認定制度」にて、健康経営優良法人に認定されている企業です。A社は、全国に支店を持つ企業ですが、本社だけでなく、全国の各部門から代表者を選出。1か月に一度、ミーティングを実施し、社員全員が楽しめるような、健康によい活動の企画をしています。
これまでの実績の一つとして、ウォーキングイベントがあります。このウォーキングイベントでは、ウォーキングアプリを個々のスマートフォンにダウンロードして、組織単位でその歩数や目標達成率を競い、記録が上位にランクインしたチームには、健康食品や健康グッズの贈呈という表彰イベントも行っていました。他にも、他社とのコラボでヨガ教室や睡眠セミナー開催の実績もあります。
テーマが健康なだけに、社員の関心も高く、気負わず気軽に参加できるイベントにすることを心掛けているため、参加率も高いのが特徴です。健康経営の一環としてのイベントとして、従来の目的である従業員の健康増進だけでなく、社員コミュニケーションの向上にもつながるという結果になった事例です。
➁ 企業Bのリモートワークにおける社内コミュニケーション事例
情報の共有とオン&オフラインイベントで不安を払拭
ITベンチャー企業B社は、昨今のパンデミックを機にリモートワークを導入した企業です。B社の取り組みとして、情報共有の集約化と仕事以外でのオンライン・オフラインでの対面機会を増やしたことが挙げられます。
B社では、情報共有や各種手続きを全て業務システムに集約、オンライン化することで、情報共有に格差が生まれないようにしました。リモートワーク時から社内コミュニケーション用のSNSとしてSlackを活用。チャットだけではうまく事が進まない時はハドルを使って直接会話をすることでチームのコミュニケーションを醸造しています。
対面の機会としては、全社規模での忘年会をオフラインで開催。どうしても現地参加できない人のために、オンラインでつなぎ、雰囲気だけでも一緒に味わえるように工夫しました。また、チーム単位で歓迎会やオンラインでも楽しめる、イントロクイズやお絵描きゲームを行う自由参加のゲーム大会を随時開催しています。
このような各種イベントをきっかけに、名前は知っているけれど顔を知らない人、話したことのない人と交流することができて、以前よりコミュニケーションが気楽にできるようになったという声が上がっているとのことです。ちょっとした不安を払拭することができれば、オンラインの場でもコミュニケーションが活性化する事例です。
6.まとめ
今回は、多くの企業が頭を悩ませている社内コミュニケーションの活性化について考えてきました。
社内コミュニケーションが活性化することによって、新しいイノベーションの創造や社員のモチベーションアップ、生産性の向上、離職率の低下などの効果が表れ、ビジネスの成功につながります。
会社にはコミュニケーションのための施策があるけれど、やっぱり上司に対し、本音を話せないもしくは話したくないと思っている社員がまだまだ存在します。その場合は現在の施策ではまだ足りない、乖離があるのかもしれません。
社内コミュニケーションを活性化し、同僚だけでなく、上司にも本音で話ができるような関係性が構築できることで、社員エンゲージメントも上がり会社の雰囲気が大幅に変化します。この機会に、社内コミュニケーションについて改めて考えてみる・見直してみるのはいかがでしょうか。
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