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従業員の意識向上と職場環境改善でハラスメント撲滅!ハラスメント対策のポイント

職場でのハラスメントは従業員のメンタルヘルスやモチベーションに大きな悪影響を及ぼします。この記事では、ハラスメントが生まれる背景やハラスメント対策のポイントについて紹介します。組織全体でハラスメント対策を強化し、健全な職場文化を築くことで、ハラスメントを撲滅しましょう。

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目次

1.ハラスメント問題の深刻さと対策の重要性

1-1.ハラスメントが職場に与える影響

ハラスメント問題は、現代の職場において深刻な問題となっています。2020年に厚生労働省が実施した「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年以内に“パワーハラスメントを受けたことがある”との回答は31.4%でした。また、都道府県労働局での2020年6月のパワハラ防止法(労働施策総合推進法)施行後のパワーハラスメントに関する相談件数は1万8000件、いじめや嫌がらせの相談件数も2020年度には約8万件にものぼります。

従業員がハラスメントに直面することは、その人の心身の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、企業全体の健全性にも影響します。ハラスメントが職場に蔓延すると、従業員の生産性や結束力が低下します。さらに、ハラスメントによって離職率が上昇し、企業の信頼性や評判の失墜につながります。

ハラスメント問題を解決することは、職場の健全性と生産性、従業員の幸福度向上に直結します。ハラスメントがない職場では、従業員は安心して働くことができ、その結果、生産性が向上し、チームの協力関係が強化されるからです。また、ハラスメント対策が徹底された企業は、社会的にも信頼され、優秀な人材の獲得や維持にも成功するでしょう。

1-2.全事業主に義務化された「パワーハラスメント防止措置」

職場におけるハラスメントを防止するために、2020年6月1日にパワハラ防止法が段階的に施行され、2022年4月からパワハラ防止措置が全企業に義務化されました。パワハラ防止措置において、事業主が行わなければならない4項目は次の通りです。

●事業主の方針等の明確化および周知・啓発
①職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
②行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

●相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
④相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

●職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応
⑤事実関係を迅速かつ正確に確認すること
⑥速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
⑦事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
⑧再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む)

●併せて講ずべき措置
⑨相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
⑩相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
※労働者が事業主に相談したこと等を理由として、事業主が解雇その他の不利益な取り扱いを行うことは、労働施策総合推進法において禁止されています。

引用:厚生労働省都道府県労働局雇用環境・均等部(室)

2.対策が必要な職場における代表的なハラスメント

2-1.パワーハラスメント

パワーハラスメント(パワハラ)とは、組織などでの地位や人間関係などの優位性を利用して、他者に不当な圧力や嫌がらせをしたり、苦痛を与えたりすることです。パワーハラスメントは、上司と部下の関係において発生しやすい事象ですが、最近では部下から上司への逆パワハラの報告も増えてきています。

2-2.セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメント(セクハラ)とは、職場や組織などにおいて、相手を不快にさせるような性的な内容の発言や行為、いやがらせのことです。例えば執拗に食事へ誘う、性的な冗談や言葉遣い、身体的な特徴を指摘するような発言、不適切なボディタッチや性的な強要などが挙げられます。

2-3.マタニティハラスメント

マタニティハラスメント(マタハラ)とは、女性が妊娠・出産・育児に関して、職場や組織内で受ける不当な取扱いや嫌がらせのことです。例えば、妊娠している女性に対して退職を促す、妊娠・出産を理由に解雇、降格など不当な扱いをする、育休から復帰したら仕事が与えられなくなるなどが挙げられます。

2-4.パタニティハラスメント

パタニティハラスメント(パタハラ)とは、男性が育児休業や育児のための時短勤務などの制度を希望、利用することを理由に不利益な扱いや、嫌がらせを受ける行為、言動のことを指します。例えば、育休の取得を認めない、育休を理由に降格させる、仕事を与えないなどが挙げられます。

3.ハラスメントが起きる原因

3-1.ハラスメントが起きる原因

マネジメント力の欠如

上司や管理職のマネジメント力が足りない場合、部下や従業員が不適切な行動をとりやすくなったり、自身の権力を不当に行使して部下や同僚に対して圧力をかけたり、感情的になり嫌がらせを行うことがあります。例えば、上司が部下に対して十分な指導やサポートを行わず、業務の遂行方法や行動規範を明確に伝えない場合、部下が自己判断で行動する余地が生まれ、誤解や衝突が生じやすくなります。また、上司が部下を適切に評価せず、業績に関係なく不当な圧力をかけたり、差別的な態度をとる場合も、部下のストレスや不満が蓄積し、ハラスメントが発生してしまうのです。

コミュニケーション不足

職場内での適切なコミュニケーションが行われない場合、誤解や不信感が生じやすくなります。特に、上司や同僚とのコミュニケーションが不十分な状況では、問題が解決されずに蓄積し、最終的にハラスメントに発展することがあります。どうせ上司は忙しいから話を聞いてくれない、提案しても無碍にされる、失敗したら笑われる・怒られるから自分からは何も言いたくないなど、従業員が自分の殻に閉じこもってしまうような、コミュニケーションが枯渇している職場環境は要注意です。

組織風土の問題

職場でのハラスメントが起こる原因の一つとして、組織風土の問題が挙げられます。組織風土とは、企業や組織内で共有される価値観や行動様式、文化のことを指します。ハラスメントが発生しやすい組織風土では、不適切な行動が許容され、問題が見過ごされることがあります。例えば、ハラスメントに対する適切な対応が行われない、上司や管理職が問題を放置する、またはハラスメントを行う人物が特別扱いされるなどのケースが考えられます。また、組織内での権力関係で、部下が不当な圧力や嫌がらせを受け入れる文化が根付いている場合も、ハラスメントが発生しやすくなります。

個人の意識の差

人々はそれぞれ異なるバックグラウンドや価値観を持ち、ハラスメントに対する感受性や認識も異なります。例えば、ある人は軽いジョークや冗談を気にせず受け流すかもしれませんが、他の人にとっては不快に感じることがあります。また、文化や社会的背景によっても、ハラスメントに対する認識や許容度が異なることがあります。このような個人の意識の差が、コミュニケーションの誤解や衝突を引き起こし、ハラスメントが発生する原因の一つとなります。

3-2.ハラスメント事例

残念なことに、ハラスメントに関する報道は尽きることがありません。最近、報道されたハラスメント事例について見てみましょう。

●宝塚歌劇団員死亡、劇団側パワハラ認める

宝塚歌劇団で活躍していた劇団員が2023年9月に死亡した問題で、3月28日に会見を開きました。
2023年11月の調査報告書で確認できなかったとしていたパワハラがあったことを認め、遺族側に謝罪したことを明らかにし、遺族側と合意書を締結したことを明らかにしました。

歌劇団は去年11月、長時間の活動などで強い心理的負荷がかかっていた可能性は否定できないとする一方、いじめやパワハラは確認できなかったとする調査報告書の内容を公表しました。
これに対し、遺族側は劇団幹部や上級生からのパワハラにあたる行為はあわせて15件に上ると主張し、歌劇団側に対して謝罪と補償を行うよう求めていました。
合意書の中で、歌劇団側は調査報告書で確認できなかったとしていたパワハラがあったことを遺族側に認めたということです。

パワハラ行為をめぐる経緯や解釈については遺族側の主張と一致しない点があったものの、協議の結果、最終的に14件の行為について認めるに至ったとしています。
そのうえで、阪急阪神ホールディングスの角和夫 会長が28日午前、遺族に直接、謝罪したということです。
(出展:『NHKニュース』「宝塚歌劇団員死亡問題 歌劇団側 パワハラ認め遺族側に謝罪」、2024年3月28日 )

●石油元売り大手のENEOS、トップがセクハラ辞任・解任。3年連続3人目

2024年2月21日、ENEOSのグループ会社ジャパン・リニューアブル・エナジー(以下、JRE)の安(やす)茂会長(67)が、懇親の場で女性の体を触るセクシュアルハラスメントがあったとして会長職を解任したと発表しました。

2023年12月下旬、内部通報窓口に、安会長が懇親の場で女性に不適切な行為を行ったと通報がありました。
会社が調査した結果、セクハラ行為があったと判断し、21日付けで会長職を解任したということです。
ENEOSグループでは、2022年8月に、当時会長だった杉森務氏が女性に対する不適切な行為のため辞任、2023年12月には、当時の齊藤猛社長が、懇親会の場で酔って女性に抱きつくという不適切な行為があったとして解任されています。
(出展:NHK「ENEOSホールディングス グループ会社会長 セクハラ行為で解任」、2024年2月21日 )

また、海外ではハラスメント裁判によって多額の賠償を命じられるケースがあります。下記は訴訟大国と言われるアメリカで過去に発生したハラスメント訴訟の事例です。あまりの賠償額の大きさに、目を疑ってしまいます。しかし、これがハラスメントの対価なのです。

●北米トヨタ自動車のセクハラ訴訟、約212億円の損害賠償請求

2006年、北米トヨタ自動車で社長秘書を務めていた日本人女性が、当時の同社社長からセクシャル・ハラスメントを受けたとして、北米トヨタと同社長を相手取り総額1億9000万ドル(約212億円)の損害賠償請求訴訟をニューヨーク州の裁判所で起こしました。原告は、ニューヨークで社長秘書として働いていたときにセクハラを受けたと主張。さらに、会社は当時原告が申し出た苦情に対処しなかったと主張していました。この訴訟を受けて社長は辞任、会社側と女性が和解しました。

●ハリウッドの大物プロデューサーによる性的ハラスメント、和解金は約27億円

2017年にアメリカの映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによる多数の女性に向けたハラスメント事件は、和解金2500万ドル(約27億円)で合意。ワインスタインは性的暴行と性的ハラスメントの罪で有罪判決を受け服役中です。この事件は日本でも話題になった「#MeToo」運動の火付け役となり、性的ハラスメントと性的暴行に対する意識を高めました。この運動により、性的ハラスメントに関連する他の多くの告発が浮上し、社会的にも変化が起こりました。

4.職場でのハラスメント対策

4-1.予防策の策定と実施

職場でのハラスメントを対策・防止するためには、適切な予防対策を策定し、徹底的に実施することが重要です。まず、企業や組織はハラスメント防止の方針や規定を整備し、全従業員に周知徹底する必要があります。これには、ハラスメントが許容されないことを明確にし、違反があった場合の処分や報告手続きを明らかにすることで、従業員の意識を高め、適切な行動を促します。

4-2.職場環境の整備

ハラスメントを防止するためには、対策として健全な職場環境の整備も欠かせません。職場内のコミュニケーションや人間関係を改善し、オープンで信頼できる雰囲気を醸成することが重要です。また、労働者同士、お互いを尊重することや協力を促進するための取り組みを行い、職場でのストレスを軽減することも効果的です。さらに、ハラスメントが発生しやすい職場の要因を排除し、働きやすい環境を整えることで、従業員の安心感や満足度を高めていくこともハラスメントの予防につながります。

4-3.教育・研修の実施

定期的な教育・研修の実施も、ハラスメント防止対策に重要です。従業員に対してハラスメントの定義や種類、防止対策についての理解を深めるためのトレーニングやワークショップを実施することで、従業員の意識向上や適切な行動の促進を図ることができます。さらに、上司や管理職に対する階層別トレーニングや指導も重要であり、彼らがハラスメントの早期発見や適切な対応ができるようにすることが求められます。

5.ハラスメントへの具体的対応

5-1.ハラスメント被害に遭遇したときの対処法

ハラスメント被害に遭遇した場合、被害者は以下のような対処法を検討することが重要です。

被害者がハラスメント行為を行った人に対し、その行為が不快であることを明確に伝え、直接解決を試みることがあります。しかし、加害者との直接対応が難しい場合や効果が期待できない場合もあります。

ハラスメント被害が継続する場合や解決が難しい場合は、証拠となるものを集めていきましょう。メールやチャットのログ、録音した証言など、ハラスメント行為が証明できる情報を集めることで、周囲へ被害を説明、理解してもらいやすくなります。

ハラスメント被害が解決しない場合や被害者が直接対応できない場合は、上司や人事部に対して問題を報告することが必要です。企業や組織はハラスメント対策の方針や手続きを定めており、それに基づいて適切な対応を行ってくれるはずです。

5-2.相談窓口とサポート体制

企業や組織では、ハラスメント被害者が相談できる窓口やサポート体制を整備しています。被害者は安心して相談できる窓口を利用し、適切なサポートを受けることが重要です。相談窓口として、下記が挙げられます。

人事部や労働組合

多くの企業や組織では、ハラスメント被害者が人事部や労働組合に相談できる体制が整えられています。被害者はこうした窓口を利用し、相談や助言を受けることができます。

 

専門家や相談機関の利用

ハラスメント被害者が企業内の窓口に相談しにくい場合や、問題が解決されない場合は、専門家や外部の相談機関に相談することも選択肢の一つです。弁護士や労働相談センターなど、専門的なサポートを受けることで、適切な対応ができる場合があります。

ハラスメント被害者は、自身の安全と権利を守るために、適切な対処法を選び、必要なサポートを受けることが重要です。企業や組織は、ハラスメント被害の防止対策と対応を徹底し、従業員が安心・安全に働ける職場環境を維持していく必要があります。

6.コミュニケーションは最善のハラスメント対策

ハラスメントが難しい問題となる要因は、「グレーゾーンが多いこと」にあります。人によって感じ方が違うので、100%の正解がないことや一昔前まで良しとされていたことが、今やハラスメントと捉えられてしまうケースで悩まれる方も多いのではないでしょうか。ハラスメントとコミュニケーションは表裏一体です。ハラスメントを正しく理解し、周囲と効果的なコミュニケーションを取る事はハラスメントの予防対策にもなります。

6-1.コミュニケーションの促進

ハラスメント対策において、コミュニケーションは非常に重要なカギになります。職場内でのオープンなコミュニケーションを通じて、ハラスメントが防止され、健全な労働環境が構築されるからです。

コミュニケーション促進のためには、まずリーダー自身が従業員と積極的にコミュニケーションすることが求められます。従業員が自分の意見や悩みを気軽に話せる雰囲気を作り出すことで、ハラスメント被害やハラスメントに繋がりそうな不快な状況が早期に発見され、適切な措置を取ることができます。

また、チームや部署の間でのコミュニケーションも重要です。定期的なミーティングや情報共有の場を設けることで、メンバー同士の連携や協力が促進され、ハラスメント行為が防止されるきっかけとなります。

さらに、職場全体のコミュニケーションを向上させるために、コミュニケーションスキルを向上させる研修やトレーニング、ワークショップの実施も有効です。このように、円滑なコミュニケーションは、職場内のトラブルやハラスメント発生の予防につながります。

6-2.職場文化の改革

ハラスメント対策において、職場文化の改革も欠かせません。従業員がお互いを尊重し支え合い、ハラスメントを容認しない風土にしていくことが求められます。

まず、企業や組織は明確な価値観や行動規範を策定し、従業員に周知徹底してください。「ハラスメントは許されないこと」を明示し、違反があった場合の厳正な処置を示すことで、従業員が自覚しやすくなります。また、上層部や管理職のリーダーシップも重要です。リーダー自らが先頭に立つことは、従業員に良い影響を与えるとともに、ハラスメントの抑止力になります。

さらに、従業員間の相互サポートや協力を促進する仕組みやイベントを導入することで、チームワークやコミュニケーションを活性化させ、職場全体のハラスメント予防対策になります。

7.まとめ

現在、就業者の5人に1人が、身体的、心理的、性的を問わず、職場でのハラスメントを経験していると言われています。パワハラやセクハラ、マタハラなどの各種ハラスメント問題は根深く、残念なことにメディアで取り上げられる機会も多いというのが現状です。

職場でのハラスメントが起こる原因として、マネジメント力やコミュニケーションの欠如、個人の意識の差が挙げられます。職場では相互理解やコミュニケーションを深める取り組みが重要であり、異なる価値観や意見を尊重し合う文化を醸成することが必要です。また、組織全体でのハラスメント防止のためには、組織風土の改革が必要です。リーダーシップの徹底や適切な教育研修プログラムの実施、相談窓口の設置など、組織風土の改善に向けた対策が重要になります。

ハラスメント対策は単なる法令遵守だけでなく、企業の文化や価値観の醸成にも関わります。従業員がハラスメントに対して報告しやすい環境を整備することや、ハラスメントを防止するための教育プログラムの実施など、積極的な対応が求められます。ハラスメント対策は、企業の未来を担う重要な課題であり、経営者や人事をはじめ、会社全体で真剣に取り組まなければなりません。

ゼロハラスメントな職場づくりのために

ハラスメントを受けたことがある、見聞きしたことがある従業員は63%!
(参照:厚生労働省 職場のパワーハラスメントに関する実態調査)

ハラスメントの弊害
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