健康経営のメリットは中小企業にこそ!導入ステップや取り組み事例を解説
アメリカと日本は、文化や法制度、労働市場などの面で性質が異なる国であり、そのために両国の人事制度にも大きな違いが見られます。この記事では、アメリカの人事制度の特徴や、日本の人事制度との比較、制度設計のコツなどを紹介していきます。
・健康経営の導入方法や成功事例を知りたい経営者
・福利厚生やモチベーション管理の向上に取り組んでいる人事担当者
・健康経営の取り組みを模索している推進チームの方
💡こんな方におすすめです!
目次
1.健康経営とは?
1-1.健康経営の定義
健康経営とは、従業員の健康を企業の重要な経営資源と捉え、戦略的に健康管理を行う経営手法です。従業員の心身の健康を保持・増進することで、企業の持続的な成長と個人の幸福を同時に実現することを目的としています。健康経営は単なる福利厚生の枠を超え、従業員の健康づくりを通じて企業の生産性向上や組織の活性化を目指す先進的な経営アプローチであり、経営陣が積極的に健康経営に関わり、従業員と組織の価値を最大化する取り組みが、健康経営の本質です。
1-2.健康経営の歴史的背景
健康経営は1990年代にアメリカの心理学者ロバート・H・ローゼン氏によって提唱され、その後日本の企業経営における重要な戦略として普及してきました。少子高齢化、労働人口の減少、働き方改革の流れの中で、従業員の健康管理は企業の存続に関わる重要な課題となっています。健康経営に取り組む会社は年々増加し、大企業だけでなく中小企業にも広がりを見せています。また、経済産業省の主動による、健康経営優良法人認定制度の創設により、企業の取り組みを後押しする社会的な仕組みも整備されつつあり、健康経営は単なるトレンドから、経営戦略の重要な柱へと進化しています。
1-3.健康経営の現状
労働環境の変化と共に、従業員の健康管理の重要性が増している最も大きな理由が少子高齢化です。総務省の調査によると、日本の生産年齢人口は1995年の約8716万人をピークに、2023年には7395万人に減少しています。将来的に、2050年には約5275万人にまで減少すると予測されています。労働者の高齢化が進むなか、生産性の維持・向上は企業の死活問題となっています。健康経営は、医療費の適正化、従業員のモチベーション向上、組織の活力創出など、多面的な効果が期待できます。従業員一人ひとりの健康状態に配慮し、予防医療の観点から積極的にアプローチすることで、企業と従業員が共に持続的な成長を実現する取り組みなのです。
2.健康経営がもたらすメリット
2-1.メリット1:直接的な経営効果
健康経営は企業に具体的かつ即効性のある経営改善のメリットをもたらします。例えば、健康経営度の高い企業の方が離職率は低い傾向にあります。2019年度の離職率の全国平均は11.4 %ですが、健康経営優良法人の離職率は5.4%という調査結果があります。特に中小企業においては、限られた人員での生産性維持が死活的に重要なポイントです。健康管理によるストレス軽減、メンタルヘルスの改善は、従業員の集中力と創造性を高め、組織全体の業務効率を大幅に向上させる有効な手段です。さらに、長期的な視点から見れば、従業員の健康投資は企業の持続的な成長を支える重要な経営施策となるのです。
2-2.メリット2:人材マネジメントへの効果
健康経営は従業員の離職率低下に顕著な効果を発揮します。健康への積極的な投資は、優秀な人材の定着率を改善し、新卒や中途採用における企業の魅力度も向上させます。特に若い世代の求職者は、企業の健康経営への取り組みを重要なポイントの一つとしています。従業員が自社の健康への真剣な取り組みを実感することで、組織への信頼と帰属意識が高まり、モチベーションの向上にもつながるメリットがあります。また、健康的な職場環境は、チームワークの強化や組織内コミュニケーションの活性化にも大きく貢献するため、人材マネジメントの観点から極めて重要なメリットといえるでしょう。
2-3.メリット3:社会的評価と無形資産の向上
健康経営に取り組む企業は、対外的なブランドイメージや企業価値を大きく向上させるメリットがあります。健康経営優良法人認定の取得は、社会的信頼性を高め、取引先や金融機関からの評価にも好影響を与える制度です。実際、健康経営銘柄に選定された企業は、株式市場においても平均以上のパフォーマンスを示す傾向があり、投資家からの注目度も高まる事例があります。さらに、SDGsやESG経営の観点からも、従業員の健康と幸福を重視する企業は高く評価される事例があります。社会的責任を果たしながら、企業の持続可能な成長を実現する戦略として、健康経営は今や不可欠な経営手法であり、導入が推進されています。
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3. 健康経営『優良法人認定』取得のための具体的ステップ
「健康経営」の取り組みを推進するなかで、経済産業省の健康経営優良法人認定を取得することは、会社にとって大きなメリットをもたらします。この認定は、従業員の健康管理に優れた取り組みを行っている法人に与えられるもので、社会的信用の向上や企業の魅力アップ、生産性の向上といった大きな効果が期待できます。では、具体的にどのような手順を踏めば、認定を取得できるのでしょうか?
3-1. 優良法人認定取得に向けた準備
健康経営優良法人認定を取得するための第一歩は、健康経営の基本方針を明確にし、実際に取り組みを始めることです。まずは、企業内で健康経営推進チームを設立し、従業員の健康管理のために必要な施策を整理します。例えば、健康診断やストレスチェックの実施や、フレックスタイム制度の導入など、会社の現状に合わせた取り組みが求められます。
認定を受けるためには、最低限以下の項目を実施している必要があります。
健康診断やストレスチェックの実施
健康に配慮した労働環境の整備(フレックス勤務や在宅勤務などの導入)
従業員への健康教育の提供
健康経営の目標設定とその進捗管理
これらの施策を会社の実情に合わせて実施し、記録として残しておくことが重要です。企業全体で健康づくりに取り組むこと(健康経営)を宣言し、施策の推進や制度を改革・見直しすることで、企業イメージの向上、人材確保の優位性、金融機関からの評価アップなど、多くのメリットが期待できます。健康経営優良法人の申請期間は年により異なり、2024年は8月から10月にかけて行われました。
3-2.ブライト500とホワイト500の違い
経済産業省の健康経営優良法人認定には複数の制度があります。その中でも「ブライト500」と「ホワイト500」は聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。ブライト500とホワイト500は、企業の健康経営の取り組みを評価し、優れた企業を表彰するという意味では変わりありませんが、それぞれの認定基準に異なる点があります。
「ブライト500」とは、中小規模法人部門の上位500社までの法人のことを指します。健康経営優良法人2024では、中小規模法人部門にて16,733法人が認定されました。そして今年度より上位501から1500位の法人は「ネクストブライト1000」としての認定が開始されます。規模の小さい法人であっても健康経営に積極的に取り組む企業を評価するために、中小企業が抱えるリソースの限界を考慮し、柔軟かつ実効性のある健康経営の施策を導入しているかが重視されます。また、地域社会との連携や従業員の健康促進活動が評価ポイントとなります。
「ホワイト500」とは、大規模法人部門の上位500位までの法人のことを指します。健康経営優良法人2024では、大規模法人部門にて2,988法人が認定されました。より多くのリソースを活用した健康経営の実施が求められ、従業員の健康データの分析や、科学的根拠に基づいた健康増進プログラムの導入、さらには経営層のコミットメントが重要視され、企業の規模に応じた高度な健康経営戦略とその実行力が評価されます。
これらの認定を通じて、企業は自社の健康経営の実施度を客観的に評価し、社会的な信頼を高めることができます。どちらの認定も法人としてのステータスを高める有効な手段ですが、会社の規模やリソースに応じて適切な制度を目指すことが重要です。ブライト500とホワイト500の違いを理解し、自社に最適な健康経営の取り組みを推進することで、企業は持続可能な成長を実現することができるでしょう。
3-3. 申請書類の準備と提出
認定の申請には、用意しなければならない書類があります。具体的には、健康経営の取り組み内容や実績をまとめた書類、従業員の健康に対する配慮状況を示す資料などです。申請書類は、経済産業省が定める基準に基づいて作成する必要があり、詳細かつ具体的な取り組み内容を記載することが重要です。
必要な書類としては、以下のようなものがあります。
健康経営方針書
健康診断やストレスチェックの実施報告
健康促進に関する施策の実施計画書
健康経営の推進体制(チーム編成など)
健康経営優良法人認定のための書類は、健康経営優良法人認定事務局からメールで案内される専用ページからダウンロードする必要があります。必要事項を記入して提出、後に審査が行われ、一定基準を満たしていると優良法人として認定が下りる仕組みです。
3-4. 認定申請通過のための重要ポイント
優良法人認定を目指すためには、認定基準に適合した取り組みをしっかりと示すことが最も大切です。データや成果を正しく提示して健康経営への取り組みをアピールしましょう。
また、経営層の積極的な関与も重要です。会社のトップが健康経営に対して真剣に取り組んでいる姿勢を示しましょう。経営者自身が健康経営の重要性を理解し、従業員に対して健康経営の方針を明確に伝えることが必要です。
3-5. 役立つサポート機関
優良法人認定の申請を行う際、専門のサポート機関を活用することも有効です。経済産業省のサポート窓口を利用することで、申請書類の書き方や取り組み内容についてポイントを相談することができます。特に、申請書類の作成に不安がある場合や、改善点をアドバイスしてほしい場合に非常に効果的です。
また、健康経営アドバイザーという資格を持つ専門家がサポートを実施している場合もあります。こうした専門家のアドバイスを受けることで、よりスムーズに認定申請を実現することができるでしょう。
3-6.認定取得後のフォローアップと継続的な改善
健康経営宣言をして、優良法人認定を取得した後も、健康経営の取り組みは長期的に進化させる必要があります。毎年の更新に向けて、前年度の施策の効果を分析し、新たな目標を設定することが重要です。従業員の健康データを定期的に分析し、課題を特定して改善策を立案するなどの取り組みが求められます。また、健康保険組合や地域の医療機関との連携、外部の健康経営専門家からのアドバイスを積極的に活用することで、より効果的な施策を実施できます。
認定は単なる称号ではありません。企業の持続的な成長を支える重要な取り組みと位置づけ、経営陣が先導して健康経営の舵をとることが重要です。
4. 効果的な健康経営を実践するための取り組み
4-1.今すぐできる!基本的な健康管理体制の導入
健康経営の第一歩は、基本的な健康管理体制の導入から始まります。健康診断の実施は優良法人認定を受ける場合の基礎となる取り組みですので、定期健康診断の100%受診を目指しましょう。また、健診結果を適切に管理し、再検査が必要な従業員には個別にフォローすることで、重大な疾病を未然に防ぐことができます。
次に、職場環境の改善を図ることが必要です。例えば、オフィス内の換気を良くし、適切な温湿度を保つことで、快適な労働環境を整えます。また、労働安全衛生法で定められているストレスチェックは、単なる法令遵守としてではなく、職場環境改善の重要なツールとして有効に活用しましょう。例えば、部署ごとの結果を分析し、具体的な改善策を講じることで、メンタルヘルス不調を予防したり、改善したりすることができます。
さらに、定期的に実施することで、従業員の健康への意識を高めることができ、健康経営のメリットとして生産性の向上や従業員のモチベーションアップにもつながります。
4-2.中小企業でもできる!健康経営を加速する職場での習慣づくり
中小企業であっても、効果的な健康促進策を実施することができます。
◎運動で実現する健康的な職場環境
職場での運動を奨励することは、健康経営を推進する重要な第一歩です。昼休みの散歩は、従業員の健康に多面的な効果をもたらします。食後の15〜20分程度の散歩は、ストレス軽減などにも効果があり、身体と心の両面にポジティブな影響を与えます。さらに、社内スポーツイベントを定期的に企画することで、従業員の運動意欲を高める手段となります。全社員参加型の「歩数チャレンジ」は、競争と協力の要素を組み込んだ楽しい健康増進策です。スマートフォンのアプリを活用し、個人の歩数を集計したり、部署対抗戦として競い合ったりすることで、従業員の運動習慣を自然と促進します。
◎食生活から取り組む健康づくり
健康経営を効果的に推進するためには、従業員の日常的な食生活に直接介入することが有効です。社員食堂やオフィス内の飲食環境を戦略的に改善することで、従業員の健康意識を自然に増進することができます。例えば、栄養バランスを考えた低カロリーで栄養価の高いランチメニューの導入や、野菜・果物を中心としたヘルシースナックの常備は、従業員の食習慣を大きく改善する可能性があります。こうした取り組みは、単なる食事の提供を超えて、企業が従業員の健康を真剣に考えていることを示すポイントにもなります。結果として、従業員の体調管理、エネルギー維持、生産性向上に直接的な効果をもたらすのです。さらに、月に1回の栄養セミナーや、管理栄養士による食事相談会の実施など、食を通じた健康教育も効果的です。これらの施策は、従業員に健康的な食生活の重要性を伝えながら、実践的なサポートを提供することができます。
◎フレックス勤務やリモートワーク
フレックス勤務やリモートワークは、現代のビジネス環境において、効果的な健康経営を実践するための重要な取り組みとして注目されています。これらの働き方は、従業員が自分のライフスタイルや健康状態に応じた柔軟な働き方を選択できるようにすることで、ストレスの軽減やワークライフバランスの改善を促進します。フレックス勤務では、従業員が通勤ラッシュを避け、最も生産性が高いと感じる時間に働くことができます。これにより、心身の健康が向上し、集中力や仕事の質が高まります。
一方、リモートワークは、通勤時間の短縮や職場のストレスからの解放を可能にします。自宅やカフェなど、働く場所を選択できる自由は、従業員のモチベーションと満足度を高める要因となります。また、リモートワークは、従業員が自分の健康管理に必要な時間を確保しやすくするため、健康への意識を高めることにもつながります。特に、育児や介護を行っている従業員には、時間の融通が利くフレックス勤務や通勤時間が削減できるリモートワークが精神的な負担の軽減になります。企業にとって、これらの取り組みを導入することは、単なる福利厚生の一環としてだけでなく、長期的な経営戦略としても重要です。フレックス勤務やリモートワークを推進することで、企業は優秀な人材を引きつけ、保持することができるだけでなく、従業員の生産性と創造性を向上させることができます。さらに、リモートワークの実施は、オフィススペースの効率的な利用にも寄与し、コスト削減の一助となります。
このように、フレックス勤務やリモートワークは、健康経営を実践する上で欠かせない要素であり、企業と従業員双方にとって多大なメリットをもたらします。これらの取り組みを積極的に推進することは、企業の持続可能な成長と社会的評価の向上に寄与することでしょう。
◎オンライン健康セミナーの活用
オンライン健康セミナーは、従業員の健康意識を高めるための効果的な手段として、多くの企業で導入が進んでいます。一番のメリットは地理的な制約がなく、どこからでも参加可能である点です。これにより、多忙な従業員や遠隔地に住む従業員も、健康に関する最新情報や専門的な知識を手軽に学ぶことができます。さらに、オンラインプラットフォームを利用することで、セミナーの内容を録画し、後日視聴可能にすることもでき、柔軟な学習環境を提供します。企業は、オンライン健康セミナーを通じて、従業員の健康に関する理解を深めると同時に、健康経営の意識を組織全体に浸透させることができます。セミナーの内容を多様化し、ストレス管理、栄養学、運動習慣の改善など、幅広いテーマを扱うことで、従業員が自らの健康課題に対する解決策を見つけやすくなります。また、専門家やゲストスピーカーを招くことで、より専門的で信頼性の高い情報を提供でき、参加者の関心を引きやすくなります。このような取り組みは、従業員の健康意識の向上だけでなく、企業全体の生産性向上や離職率の低下、職場環境の改善につながります。さらに、健康経営の一環としてオンラインセミナーを活用することで、企業の社会的責任(CSR)活動の一部としても評価される可能性があります。したがって、オンライン健康セミナーは、企業の持続的な成長を支える重要な要素となり得るのです。
◎メンタルサポート
メンタルヘルスのサポートは、健康経営において不可欠です。職場でのストレスやメンタルヘルスの問題は、従業員の生産性やモチベーションに大きな影響を及ぼします。効果的なサポートを提供するためには、まず従業員が気軽に相談できる環境を整えること。例えば、定期的なメンタルヘルスチェックや、専門のカウンセラーによる個別面談の導入が考えられます。
また、ストレス管理のための研修やワークショップを開催することで、従業員が自分自身のメンタルヘルスを管理するスキルを身につけることも大切です。さらに、オープンなコミュニケーションを促進し、従業員が心理的安全性を感じられる職場文化を育むことも必要です。これには、上司や同僚が日常的に励まし合う文化を築くことや、メンタルヘルスに関する情報を社内で共有することが含まれます。
こうした取り組みを通じて、従業員が安心して働ける環境を提供することが、健康経営の成功につながります。メンタルへのサポートを充実させることで、従業員の健康と企業の持続的な成長を両立させることができるようになります。
◎健康促進チャレンジ
さらに、社内イベントとして健康促進チャレンジを導入するのも、効果的な施策です。例えば、従業員が1か月で一定の運動量を達成するチャレンジや、健康的な食事習慣を取り入れるチャレンジを実施することができます。こうした取り組みは、コミュニケーションの促進にも繋がり、従業員同士の絆を深める効果も期待できます。
健康促進チャレンジは、社内で手軽に実施できるだけでなく、楽しみながら従業員が健康意識を高めることができるため、モチベーションアップにも繋がります。企業側も参加者にインセンティブを提供することで、より多くの従業員が積極的に参加するようになります。企業文化として健康経営を浸透させることができれば、社員一人ひとりの健康維持が、最終的には企業全体の成果として表れてくるでしょう。
最後に、これらの取り組みを成功させるためには、経営層の理解と積極的な参加が不可欠です。トップが率先して健康経営を推進することで、全社的な健康意識の向上が期待でき、長期的な企業の成長に寄与します。中小企業でも、創意工夫を凝らせば、コストを抑えつつ効果的な健康促進策を実現することが可能です。
5.成功事例:健康経営導入で企業が得た大きな成果とは?
事例1:A社(事業内容:健康食品、自然食品の販売 従業員数:約10名)
A社は、創業以来従業員の健康を最優先に考え、健康経営を積極的に実践してきました。2016年には「健康企業宣言」を実施し、以降2017年に「健康優良企業 銀の認定」、2018年に「健康優良法人」、2019年に「金の認定」を取得。その後、2022年には「健康経営優良法人ブライト500」を獲得し、毎年更新しています。
同社は、従業員に自社製品の提供や魚中心のバランスの取れた昼食の提供、健康管理のためのセルフチェックの実施などを通じて、健康促進に注力しています。特に、抗酸化作用を持つ「SOD様食品」やルイボスティーの提供を通じて、日々の健康維持をサポート。また、定期的に実施される「ムードボード」を導入し、従業員間での感情共有やコミュニケーションの促進にも取り組んでいます。
高齢の役員がいるため、働き方の柔軟性や休養の重要性を強調し、ウェルビーイングを重視する企業文化を築いています。健康経営を通じて、従業員の健康だけでなく、社員一人ひとりがより幸せで充実した人生を送るためのサポートを行っています。
事例2:B社(事業内容:施工管理 従業員数:約250名)
B社は2011年に「心の健康づくり推進マニュアル」を策定し、2017年には「すこやか推進プロジェクト」を発足。社員一人ひとりが心と体の健康を維持できるような環境を整備してきました。2018年には健康保険組合連合会東京連合会の「銀の認定」を取得し、2019年には「健康経営優良法人」、さらに2021年からは「ブライト500」に3年連続で認定されています。
具体的な取り組みとして、ウォーキングイベントや運動セミナー、健康食品や飲料の提供、さらには育児休暇やリモートワーク制度の導入など、社員の健康増進を積極的にサポートしています。また、社員の健康行動を評価する「ポイント制度」を導入し、健康活動に参加することでポイントを獲得し、賞与に反映される仕組みを作り上げています。バーチャルオフィスの導入により、全国の各拠点のメンバーともコミュニケーションが活発になり、全社員の一体感を高める施策も行っています。
事例3:C社(事業内容:警備業 従業員数:約50名)
C社は、地理的な理由で採用に苦戦していたことから、健康経営を導入しました。2020年に健康経営宣言を行い、2021年には「健康経営優良法人(ブライト500)」に認定され、その後も3年連続で認定を維持しています。
健康経営の一環として、会社が負担する生命保険、三大疾病保険、団体長期障害所得補償保険(GLTD)、医療保険などを導入。従業員の平均年齢が60歳前後のため、個人で加入するには高額な保険を、会社負担で低負担で提供しています。この取り組みにより、従業員からは「自己負担が減り、手取りが増えた」「会社が社員を大切にしていると感じる」といった声が寄せられています。また、健康診断の受診率を100%にし、業務間インターバル制度や残業時間の規制を設けるなど、働きやすい環境づくりに注力。さらに、従業員のワークライフバランスやエンゲージメント向上にも力を入れています。
結果として、健康経営を始めてから内定辞退者ゼロを達成し、従業員の幸福度も向上。今後は、地域特有の課題を克服し、さらに充実した健康支援を目指していく予定です。
6.まとめ:ブームで終わらせない!持続可能な健康経営の実現に向けて
持続可能な健康経営を実現するためには、単なる一時的なブームに終わらせず、長期的な視点での戦略構築が重要です。そのためには、企業文化として健康経営を浸透させることが必要であり、経営陣のリーダーシップとコミットメントが必要不可欠です。トップダウンとボトムアップの両側面からの取り組みを促進するようにしましょう。
さらに、健康管理の取り組みを一過性のイベントではなく、定期的かつ継続的に実施することが大切です。例えば、社員の健康状態を定期的にモニタリングし、個々のニーズに応じた健康プログラムを提供することで、全体的な健康水準の向上を図ります。
また、外部の専門家や機関との連携を通じて、最新の健康管理手法を導入し、効果的なフィードバックループを形成することが有効です。これにより、持続的な改善が可能となり、社員の健康意識が自然と向上する環境を作り出します。最終的には、これらの取り組みが企業の競争力を高め、持続可能な成長をサポートする要因となるでしょう。
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