ネガティブ社員は辞めていただいても良い説

どんなに優秀な社員が揃っていても、職場の雰囲気が悪ければ、組織全体の成果を高めることは難しくなります。その中でも、職場の空気を重くし、周囲のモチベーションを奪う「ネガティブ社員」の存在は、組織にとって大きな課題です。こうしたネガティブ社員がチームにいると、生産性だけでなく、職場での信頼関係や長期的な組織の成長にも悪影響を及ぼすことがあります。本記事では、ネガティブ社員が職場にもたらす影響を掘り下げ、「辞めていただいてもいい説」について皆さんとシェアしていきます。

・職場の雰囲気を改善したいと思っている方
・ネガティブな部下との接し方に悩んでいるチームリーダーの方
・従業員エンゲージメントを向上させたい人事担当者や経営者

💡こんな方におすすめです!

目次

1. はじめに:ネガティブ社員とサイアクな職場の雰囲気

1-1.ネガティブ社員とは

ネガティブ社員とは、職場において否定的な態度や思考を持ち続け、それが周囲にも波及するタイプの社員を指します。たとえば、会議中に他者の意見や提案を批判することが多く、建設的な意見やフィードバックがほとんど見られない傾向があります。こうした態度は時に「自分の考えを正直に伝えているだけ」と認識されることもありますが、実際には組織の士気を低下させる原因になります。

そしてネガティブ社員は、責任を回避する傾向があります。何か問題が起きたとき、自分のミスを認めることなく、他人や外部環境のせいにしてしまうのです。このような態度が繰り返されることで、同僚や上司との信頼関係が徐々に崩れていきます。それに加え、不満を口にすることが日常化することで、職場全体の空気を重くしてしまいます。「給与が少ない」「よくない会社だ」などの言葉が頻繁に聞かれる職場は、やがて不平不満が連鎖し、前向きな取り組みが阻害されるのです。

さらに、こうした社員は新しい挑戦や変化に対して極めて消極的です。「やったことがないからできない」といった発言で、新しいプロセスの導入や組織改革を妨げることもしばしばです。その結果、職場全体の成長が停滞し、同僚たちが「どうせ何を言っても変わらない」と感じるようになり、モチベーションが大幅に低下します。

ネガティブ社員が職場に与える影響は深刻です。彼らの言動が他の社員にも伝染し、職場全体が「否定的な文化」に染まってしまうことがあります。ポジティブな環境でこそ本来の力を発揮できる社員が、その空気に耐えられずに退職を選ぶ場合も少なくありません。そして、職場の空気が重くなればなるほど、社員間のオープンな対話は減少し、組織としての活力を失ってしまうのです。

1-2.ネガティブはポジティブより7倍も感染力が高い!?

心理学の研究によれば、人間の感情には『ネガティビティ・バイアス(負の偏向)』という性質があると言われています。マサチューセッツ工科大学の研究によると、ネガティブな感情はポジティブな感情と比較すると7倍も感染力が強いとされています。そのため、職場で一人のネガティブ社員が放つ言葉や態度は、驚くべき速さで周囲に伝染し、組織全体に悪影響を及ぼします。

●チームの士気低下
ネガティブ社員がいる職場では、チームの士気が著しく低下することがあります。例えば、プロジェクトの進捗会議中に「どうせ失敗する」「無理なスケジュールだ」といった発言が繰り返されると、他のメンバーのやる気を奪い、挑戦意欲を削いでしまいます。こうした態度は、特に若手社員や新入社員に大きな影響を与えます。「どんなに頑張っても無駄なのでは」と感じるようになり、積極性を失う原因となるのです。また、チーム内でのアイデア出しや建設的な議論が減少し、結果的に組織の創造性も低下してしまいます。

●生産性の低下
ネガティブな環境では、社員一人ひとりのパフォーマンスも低下します。常に否定的な意見を口にする社員がいると、プロジェクトの進行が遅れるだけでなく、他の社員にストレスを与える場合があります。その結果、集中力を欠いたり、仕事の効率が悪化したりするケースが増えるのです。さらに、ネガティブな発言が蔓延すると、社員が「どうせ努力しても評価されない」と感じるようになり、自発的に仕事に取り組む意欲を失います。このような状況では、企業全体のパフォーマンスが長期的に低下し、競争力を維持することが難しくなります。

●社内の人間関係の悪化
ネガティブ社員が職場に与える最も顕著な影響の一つが、人間関係の悪化です。否定的な態度や批判的な発言が頻繁に行われると、チームメンバー間の信頼が損なわれ、協力し合う姿勢が失われてしまいます。例えば、「あの人と一緒に仕事をしたくない」といった声が上がるようになり、結果的に職場内で孤立する社員が増えたり、グループ間の対立が生じたりする可能性があります。また、上司と部下の関係にも影響を与え、部下が率直な意見を言いにくくなり、コミュニケーションの質が低下することも少なくありません。

2. ネガティブ社員の特徴とその背景

職場の雰囲気を一変させる力を持つネガティブ社員ですが、彼らの行動には一定のパターンが存在します。ネガティブ社員を理解することは、彼らへの適切な対応策を考える第一歩となります。

2-1.ネガティブ社員の行動パターン

●批判的な態度
ネガティブ社員の代表的な特徴として、他人や組織に対する批判的な態度が挙げられます。会議中に提案が出されても「そんなのはうまくいかない」「現場では役に立たない」と否定的なコメントを繰り返す場面がよく見られます。このような態度は、建設的な議論を阻害し、提案を出した社員が萎縮する原因にもなります。また、上司や経営陣の決定に対しても批判的な意見を公然と述べることがあり、組織内の上下関係や信頼関係にひびを入れることも少なくありません。

●チームワークの拒否
ネガティブ社員は、チームプレイよりも個人主義的な行動を取る傾向があります。協力して課題に取り組む場面で「自分の仕事ではない」と言い放ち、責任を回避しようとすることがあります。また、他のメンバーのアイデアや努力を軽視し、あたかも自分一人でプロジェクトを進めているような態度を取る場合もあります。このような行動は、チームの団結力を低下させ、プロジェクト全体の成功を危うくする要因となります。

●自分の仕事に対する不満
もう一つの特徴は、自分の仕事そのものに対する不満を頻繁に口にすることです。「この仕事は自分には合わない」「こんなに働いても見返りがない」といった言葉を何度も繰り返し、周囲にもその不満を広めます。その結果、同僚たちの士気が低下し、職場全体がネガティブな雰囲気に包まれることがあります。特に、これらの発言が新入社員や若手社員に伝わると、彼らのやる気に悪影響を与える可能性が高くなります。

2-2.ネガティブな行動が生まれる背景

ネガティブ社員の行動には、表面的には見えにくい深い背景があります。単に「性格が悪い」や「やる気がない」と片付けるのではなく、その背景を理解することで、適切な対応が可能になります。ここでは、彼らがネガティブな態度を取るようになった原因について、いくつかの観点から考察します。

●過去の経験が形成した固定観念
ネガティブな行動の多くは、過去の職場や人生経験から生じることが多いです。例えば、前職で努力が評価されず、むしろ失敗を過度に指摘された経験がある場合、「どうせ頑張っても意味がない」という固定観念が形成されることがあります。また、上司や同僚からの批判やいじめを受けた経験がある場合、自己防衛のために周囲を批判する姿勢を取るようになることもあります。これらの経験は、長期的に性格や態度に影響を与え、他の職場環境でも引き継がれる可能性があります。

● 企業文化の影響
職場そのものの文化や環境も、ネガティブな行動を引き起こす一因です。たとえば、極端に競争が強調される職場では、他人を蹴落とさなければ成功できないという心理が生まれます。このような環境では、社員が周囲に対して批判的になりやすく、ネガティブな態度が当たり前になってしまいます。また、評価基準が不明確な職場や、フィードバックが不足している環境では、社員が達成感を得られず、仕事に対して不満を抱く傾向が強まります。特に、努力しても成果が認められない状況が続くと、「やっても意味がない」という諦めの感情が根付いてしまいます。

● 心理的ストレスと不安
ネガティブな行動は、心理的なストレスや不安から生じることも少なくありません。たとえば、仕事量が多すぎる、役割が明確でない、あるいは職場での人間関係に悩みを抱えている場合、社員は心理的な負担を感じます。その結果、ストレスや不安を解消する手段として、否定的な言動や態度を取るようになるのです。さらに、将来への不安や、個人的な問題(家庭の事情、健康問題など)が加わることで、職場での態度に悪影響を及ぼすこともあります。

● パーソナリティの影響
性格や個人特性も、ネガティブな行動に影響を与えます。たとえば、リスク回避型の性格を持つ人は、新しいことへの挑戦に対して慎重になりがちです。そのため、職場の変化や挑戦を求められる場面で、「それは無理だ」「成功しないだろう」といったネガティブな反応を示すことが多くなります。また、完璧主義の傾向が強い人は、自分や他人に対して厳しい評価をしがちで、結果的に否定的な態度が目立つ場合があります。

● 社会的影響と時代背景
社会全体の雰囲気や時代背景も、個人のネガティブな態度に影響を与えることがあります。たとえば、経済的不安定やパンデミックの影響で、全体的に将来への不安が高まると、職場でも否定的な意見や態度が増える傾向があります。また、SNSの普及により、他人の成功や自己表現を見せつけられる機会が増え、それが相対的な劣等感や不満感を引き起こす要因になることもあります。

3. ポジティブな職場作りの重要性

前章では、ネガティブ社員の特徴や、彼らが職場環境に与える影響を考察しました。ネガティブ社員は職場全体をネガティブな方向に引き込む可能性があります。そこで、この章では、ポジティブな職場環境がもたらすメリットと、なぜポジティブな職場作りが重要なのかを詳しく解説します。

3-1.ポジティブな職場環境の利点

職場の雰囲気は、そこで働く人々のモチベーションやパフォーマンス、そして組織全体の成功に直接的な影響を与えます。ネガティブな職場環境が多くの問題を引き起こす一方で、ポジティブな職場環境を築くことには計り知れないメリットがあるのです。

●高い生産性
ポジティブな職場では、社員が意欲的に仕事に取り組み、創造性や問題解決能力が高まります。これにより、一人ひとりの生産性が向上し、チーム全体のパフォーマンスも大幅に改善します。たとえば、効率的な役割分担や意見交換によって、成果をより早く出せるようになります。


●良好なチームワーク
明るい職場では社員同士の信頼感が強まり、意見交換や協力が活発になります。特に、困難なプロジェクトに取り組む際にはチームの結束力が重要で、ポジティブな風土がその基盤となります。互いを支え合う環境は職場全体の一体感を高めます。


●ストレスの軽減
職場でのストレスは生産性を低下させますが、ポジティブな環境では心理的な負担が軽減されます。上司が意見を尊重し、問題解決をサポートすることで安心感が生まれ、ストレスの発生を抑えることができます。さらに、感謝や笑顔が飛び交う職場は、自然と前向きなエネルギーに満ちる傾向があります。

3-2.ポジティブな職場が業績に与える影響

●従業員満足度の向上
ポジティブな職場環境は、社員の満足感や職場への愛着を高めます。たとえば、柔軟な働き方や適切なフィードバックが「自分が大切にされている」という実感を与え、モチベーションと自主性の向上につながります。

●離職率の低下
信頼関係や帰属意識が強いポジティブな職場では、社員は長く働きたいと感じます。ポジティブな文化は社員のキャリア形成にも良い影響を与え、結果的に人材流出を防ぎ、優秀な人材を惹きつける力を持ちます。

●社外からの企業イメージ向上
職場環境が良い企業は、社員からの口コミやSNSを通じてその評判が広がります。ポジティブな職場は採用活動を有利にし、顧客や取引先からの信頼感を高め、事業拡大にも寄与します。

このように、ポジティブな職場環境にはこのようなメリットがあるのです。このような良い環境を作るためにも、ネガティブ社員を放置せず、対策を練る必要があります。次の章では、ネガティブ社員への適切なアプローチ方法や対策について詳しく解説していきます。

4. ネガティブ社員へのアプローチ方法

ネガティブ社員への対応は、多くのマネージャーにとって難題です。しかし、正しいアプローチを取ることで、社員のネガティブな態度をポジティブな方向に導き、職場全体の雰囲気を改善することが可能です。この章では、具体的なアプローチ方法とその実践例について詳しく説明します。

4-1.1対1のフィードバックと日々のコミュニケーションの重要性

ネガティブ社員への対応でまず重要なのは、個別のフィードバックと継続的なコミュニケーションです。グループでの対応ではなく、1対1で話す場を設けることで、本人が感じている不満や悩みを深く掘り下げて理解することができます。特に、ネガティブな態度を取る背景には個人的な事情が隠れていることが多く、その本質を把握するためには信頼関係を築くことが大切です。

具体的には、以下のようなアプローチが有効です。

●傾聴を重視する
話をさえぎらずに最後まで聞くことで、本人の本音を引き出しやすくなります。特に、感情的になっている場合でも、冷静に耳を傾けることで安心感を与えることができます。

●定期的に近況を確認する
一度のフィードバックで解決することは難しいため、定期的に進捗や状況を確認し、フォローアップする習慣をつけましょう。たとえば、週に1回の短いミーティングを設定し、情報共有する場を作ることも一手です。

4-2.ネガティブな態度を改善するための具体的なアクション

●効果的な質問技法
ネガティブ社員に対して、一方的に指摘するのではなく、オープンエンドの質問を通じて自己認識を促す方法が有効です。たとえば、以下のような質問を使うことで、ネガティブな感情の根本を探ることができます。

「どんな点が特に不安に感じていますか?」
「改善したいと思う部分はありますか?」

これにより、本人が状況を客観的に捉え、自分自身で改善のヒントを見つけやすくなります。

●ポジティブな視点への誘導
ネガティブな意見が出た場合、それを否定せずに「それなら、どうすればもっと良くなると思いますか?」といった形でポジティブな視点に転換するよう促します。また、日々の業務の中で小さな成功体験を積み重ね、本人が前向きに取り組めるような状況を作ることも重要です。たとえば、チーム内での成果を共有する際に、本人の貢献を具体的に取り上げて感謝を伝えることで、自己肯定感を高めることができます。

●目標設定と成果の明確化
ネガティブ社員は、自分の役割や目標が不明確な場合に不満を感じやすくなります。そのため、具体的で達成可能な目標を設定し、進捗が明確に見えるような仕組みを作ることが重要です。たとえば、短期的なタスクを段階的に設定し、それを達成するたびにポジティブなフィードバックを与えることで、本人のやる気を引き出します。

●適切な人事対応
上記の方法を試しても改善が見られない場合、より適切な人事対応を検討する必要があります。たとえば、本人の適性に合ったポジションへの異動や、外部の専門家によるカウンセリングの導入が有効です。また、最終的には、組織全体の利益を考えたうえで、厳しい判断を下すことも避けられない場合があります。ただし、その際には、公正で透明性のあるプロセスを徹底することが重要です。

5. チーム全体でのポジティブな文化作り

職場のポジティブな文化は、一人ひとりの努力だけではなく、チーム全体としての取り組みによって形成されます。その中心にはリーダーシップの役割があり、全員が共通の目標に向かって協力するための基盤を築くことが求められます。この章では、リーダーシップの重要性と、モチベーションを高めるための具体的な方法について考えます。

5-1.リーダーシップの役割

●良い例を示す
リーダーの行動は、チームメンバーに大きな影響を与えます。ポジティブな文化を作るためには、リーダー自身が良い例を示すことが不可欠です。たとえば、目標に向かって努力する姿勢や、失敗を前向きに捉える態度を示すことで、チーム全体にその価値観が伝わります。さらに、リーダーが自身の感謝の気持ちを率直に表現することで、感謝の文化が自然と広がります。

●透明性と誠実なコミュニケーション
リーダーは、チームメンバーとのコミュニケーションにおいて透明性を保つことが重要です。情報が隠されていると、社員は不安や不信感を抱きやすくなります。一方、組織の目標や進捗状況、課題をオープンに共有することで、チームメンバーは自分の役割を理解し、責任を持って行動するようになります。また、誠実なコミュニケーションを心掛けることで、信頼関係が深まり、ネガティブな状況にも建設的に対応しやすくなります。

●チームビルディング活動の活用
リーダーは、定期的にチームビルディング活動を行うことで、メンバー間の絆を強化する役割を担います。たとえば、オフサイトミーティングや共同でのプロジェクトに取り組むことで、日常の業務を超えた関係性を築くことができます。また、軽いレクリエーションや非公式の交流イベントも、チームの結束力を高める効果があります。

5-2.モチベーションを高めるための実践的な方法

●成果を称賛する文化
チームの成功や個人の努力を称賛する文化を醸成することは、モチベーションを高めるうえで極めて有効です。たとえば、プロジェクトの達成時に簡単な祝賀イベントを開いたり、定期的に社員の貢献を表彰する仕組みを設けたりすることで、メンバー全員が自分の努力が認められていると実感できます。

●個人の貢献を認める
チーム全体の成果だけでなく、個人の具体的な貢献を認めることも重要です。具体的な行動や成果に対してフィードバックを行うことで、社員は自分がチームにとって不可欠な存在であると感じ、さらに意欲を高めることができます。たとえば、「今回の提案がプロジェクトの成功に大きく貢献しました」というように、具体性を持たせた言葉で評価を伝えると効果的です。

●フィードバックをポジティブに行う
フィードバックは、改善を促すだけでなく、ポジティブな行動を強化するためにも活用されるべきです。たとえば、課題を指摘する際には、「これを改善すればもっと良くなります」という前向きな表現を心掛けることで、社員が成長の機会として受け止めやすくなります。また、改善点だけでなく、成功事例も同時に共有することで、バランスの取れたメッセージが伝わります。

6. ネガティブ社員の素行が改善されない場合の対策

ネガティブな態度が長期間改善されず、職場全体に悪影響を与えている場合、組織として適切な対応が求められます。個別の対応策や最終的な判断を下す前に、どのような選択肢があるのかを慎重に検討し、組織全体の利益を守るための最善のアクションを取る必要があります。この章では、改善が見込めない場合に取るべき選択肢と、その後の決断について詳しく解説します。

6-1.改善の見込みがない場合の選択肢

●配置転換の検討
もし、ネガティブな社員が職場で改善の兆しを見せない場合、まず考慮すべき選択肢のひとつは配置転換です。配置転換は、社員が現在の役職やチームとの相性に問題を抱えている可能性がある場合に有効です。異なる部署やポジションで新たなチャレンジを提供することで、社員のモチベーションや仕事に対する態度が改善されることもあります。配置転換を行う際は、社員と面談を実施し、その意向やキャリアの方向性を理解した上で最適な部署を提案することが重要です。

●最終的には離職を選択するケース
配置転換を試みても改善が見られない場合、最終的に社員が離職を選ぶケースもあります。この場合、組織としては、社員が円満に退職できるような支援を行うことが大切です。退職時には、感情的な対立を避け、前向きな関係を維持できるよう努めるべきです。また、社員の退職後も、組織内でのネガティブな影響を最小限に抑えるため、他のメンバーとどのように接するかを事前に考え、対策を講じておくことが求められます。

6-2.組織の利益を守るための適切な決断

●社員の尊厳を守る方法
最終的な決断が離職や配置転換になる場合でも、最も重要なのは、社員の尊厳を守りながらプロセスを進めることです。特にネガティブな態度が長期間続く場合、社員は自己評価に対して低い自信を持っていることが多く、そのような状態での退職や配置転換は、慎重に行う必要があります。社員が不当な扱いを受けたと感じないよう、対話を重ね、決定に至る過程を明確に伝えることが大切です。

具体的には、以下の方法で社員の尊厳を守ることができます。

◎透明で丁寧なコミュニケーション
退職や配置転換を提案する際には、社員に十分な説明を行い、決定に至った理由を理解してもらうことが重要です。

◎感謝と敬意を示す
退職時には、社員のこれまでの貢献に対して感謝の意を表し、今後の成功を祈る言葉を伝えることで、円満な関係を保つことができます。

◎適切なサポートの提供
カウンセリングなどを通じて、社員が新たなスタートを切れるようサポートを行うことも、尊厳を守るための一環です。


●組織の利益を最優先に考える
ただし、最終的には組織全体の利益を守るために冷静かつ客観的な判断を下さなければなりません。ネガティブな社員が業務の進行やチーム全体の士気に悪影響を与え続ける場合、組織としての健全な運営を維持するためには、必要な決断を下すことが求められます。この判断は、社員個人の感情や事情に配慮しつつも、組織全体の健全性を損なわないようにしなければなりません。

最終的に、ネガティブ社員への対応は、組織と社員の双方にとって最良の結果を生むように進める必要があります。社員の尊厳を守りつつ、組織の長期的な利益を考慮した適切な決断を下すことで、職場の雰囲気を健全に保ち、すべての社員がより良い職場環境で働けるようにすることが大切です。

7. ポジティブな職場文化を育むための継続的な努力

ポジティブな職場文化は、一度作り上げただけで永続的に続くものではありません。それは組織の中で絶え間ない努力と意識の改革を伴うプロセスであり、組織の成長に応じて進化していく必要があります。ポジティブな職場文化を持続的に育むためには、定期的な評価と改善のサイクルを取り入れ、社員一人ひとりがその文化に貢献できるような環境を整えることが求められます。

7-1.文化作りは一過性のものではない

ポジティブな職場文化を構築するための最初のステップは、その価値を全社員に理解させることです。しかし、それを実現したとしても、それが「終わり」ではありません。文化作りは一度きりのイベントではなく、組織全体に浸透し、日常的に実践されるべきプロセスです。新たな文化が根付くには、リーダーシップの模範的な行動だけでなく、日々の行動の中でその価値観を繰り返し表現し続ける必要があります。社員の意識を常に更新し、日々の業務の中で意識的にポジティブな行動を選択することが、文化の定着を助けます。

また、ポジティブな文化は単に表面的なものではなく、組織の戦略や目標に深く結びつけられ、時間とともに発展していくべきです。例えば、業績向上に向けた取り組みがポジティブな職場環境によって支えられることで、組織全体がより効果的に目標に向かって協力し合うことが可能になります。文化が一過性でなく、継続的な努力として位置付けられることが、最終的に職場全体の成長に繋がるのです。

7-2.定期的な評価と改善のサイクル

ポジティブな職場文化を育むためには、定期的な評価と改善のサイクルが欠かせません。文化の成長には、状況を把握し、変化に適応させる能力が求められます。定期的なフィードバックやアンケート調査を通じて、社員の意見を集め、どの部分が効果的に機能しているのか、またはどこに改善の余地があるのかを把握することが重要です。

評価と改善は、組織の進化に合わせて柔軟に行われるべきです。例えば、ポジティブな職場文化が育まれていると感じている社員が増えてきた場合、その状況を維持するためにどのような取り組みが必要かを見極めることが大切です。また、職場の課題や新たな要因が生じた際には、それに応じたアプローチを取ることで、文化を常に最新の状況に適応させることができます。
評価と改善のサイクルを積極的に回すことによって、組織の文化は常に前向きで効果的なものとして進化し続けます。そして、このプロセスが社員にとっても重要な意味を持つことを認識させることで、より高いレベルでの協力と取り組みが促されるのです。

7-3.社員一人ひとりの意識改革の重要性

ポジティブな職場文化の継続には、社員一人ひとりの意識改革が欠かせません。職場の文化はトップダウンで作られるべきものですが、それが定着し、根付いていくためには、社員全員がその文化の重要性を理解し、自分ごととして受け入れる必要があります。リーダーシップや管理職だけでなく、現場の社員全員がポジティブな文化の一部であると感じることが、最も効果的な文化作りに繋がります。

そのためには、社員一人ひとりが自分の行動が職場全体の文化に影響を与えていることを意識する必要があります。例えば、日々のコミュニケーションにおいてポジティブな言葉を使う、問題解決において建設的な意見を出す、チームの成功を祝うといった具体的な行動が、文化の一環として重要視されます。社員が自発的にこうした行動を取るようになることで、組織全体にポジティブな文化が広がり、持続可能なものとなるのです。

ポジティブな職場文化を育むことは、長期的な視点で取り組まなければならない重要な課題です。それは一度作り上げたら終わりではなく、絶えず改善し続けるべきものです。定期的な評価を行い、社員一人ひとりがその文化に積極的に関与することで、組織全体がその文化を共有し、支えるようになります。このような継続的な努力によって、ポジティブな職場環境は確立され、組織の成長を支える力強い基盤となるのです。

8. まとめ:ポジティブな職場がもたらす未来

ポジティブな職場文化は、社員一人ひとりの行動や思考に直接影響を与えるだけでなく、チーム全体のパフォーマンス向上にも繋がります。良好な職場環境が整うと、社員は安心して自分の意見を述べ、積極的に問題解決に取り組むことができるようになります。また、ポジティブな雰囲気は、社員のコミュニケーションを円滑にし、情報の共有や協力体制が強化されます。こうした相互作用が、企業全体に広がることで、業務の効率性や成果が向上し、組織の成長を加速させるのです。

さらに、ポジティブな職場は、外部からの企業イメージにも良い影響を与えます。社員が前向きな態度で働く企業は、そのブランドイメージも自然と向上し、優秀な人材の採用にも繋がります。企業文化の魅力が伝わることで、取引先や顧客との信頼関係が築かれ、持続可能な成長を支える要素となります。

このような職場を作るため、「ネガティブ社員」を放置したままではいけません。彼らをよりポジティブな社員に生まれ変わらせるよう努力することが第一歩ですが、最終的に「離職」という結論になることがあるということを理解する必要があります。そのくらい「ネガティブ」のパワーは、よくも悪くも非常に強いのです。

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