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心理的安全性とは?心理的安全性を高める方法や測定方法などを解説!

心理的安全性は、組織やチームメンバーが自分の意見や感情を自由に表現し、リスクを恐れずに新しいアイデアを提案できる環境のことです。このコラムでは、心理的安全性の重要性やその効果的な高め方、そして測定方法などについて解説します。

目次

1.心理的安全性とは何か?

1-1.心理的安全性とは?

心理的安全性とは、ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授によって提唱された概念で、「組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のこと」を指します。チームメンバー同士の関係性で「チーム内では、メンバーの発言や指摘によって人間関係の悪化を招くことがないという安心感が共有されている」ことが重要なポイントです。

1-2.心理的安全性の重要性

心理的安全性が高いチームは、離職率が低下し、生産性や売上が上がります。2015年に米グーグル社が「心理的安全性は成功するチームの構築に最も重要なものである」と発表しました。チームとは真の成果を生み出す最小単位、画期的なアイデアが生み出され、評価される場所です。心理的安全性が確立しているチームには、周囲から貶められることがなく、安心して仕事に集中できる環境にあります。その結果、個人のパフォーマンスが向上し、仕事の効率や生産性の向上につながることを意味しています。

では、チームに必要なものとは何でしょう。米グーグル社のProject Aristotle「効果的なチームを可能にする条件」によると、良いチームにはミスをしても、それを理由に非難されることはないと思える心理的安全性以外にも、下記のようなものが存在します。

・相互信頼 
チームメンバーは、一度引き受けた仕事は最後までやりきってくれると思えるか。

・構造と明確さ 
チームには、有効な意思決定プロセスがあると思えるか。

・仕事の意味
チームのためにしている仕事は、自分自身にとっても意義があると思えるか。

・インパクト 
チームの成果が組織の目標達成にどう貢献するかを理解しているか。

1-3.心理的安全性が低いチームと高いチーム

心理的安全性の存在は、どのような変化をチームにもたらすのでしょうか。下記は、心理的安全性の低いチームと心理的安全性が高いチームの特徴を記したものです。

心理的安全性が低いチームの特徴
チームのために行動しても、罰を受けるという不安やリスクのあるチーム
【具体例】
・自分の知識が足りないと思ってしまう。バカだと思ってしまう
・仕事に必要なスキルが無いと思い、凹んでしまう
・自分がチームの足を引っ張っていると思う
・仕事に対してネガティブなことばかり思う
・自分のチームはお互いの批判ばかりしている
・フィードバックはない

心理的安全性が高いチームの特徴
健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をする
【具体例】
・知らないことがあっても気軽に聞ける
・自分のスキルが足りない時、メンバーが助けてくれる
・自分がいることがチームに役立っていると感じる
・仕事が大変な時でも、上司がサポートしてくれるので頑張れる
・チームメンバーから褒めてもらえて正直に何でも話せる
・自分が成長できるフィードバックがもらえる

2.心理的安全性の現状

2-1.職場での心理的安全性の認識

あなたの職場には、心理的安全性がありますか? メンバーが意見を出しやすい環境ですか? 私たちは基本的な自己防衛本能の中で、わざわざ対人関係にリスクを負ってまで何かを発言しようとはしないものです。エドモンドソン教授はその心理状態を4つのパターンに分類しています。

「無知」だと思われたくない ・・・ 必要なことを質問せず、相談しない
「邪魔」だと思われたくない ・・・ 必要でも助けを求めず、不十分な仕事でも妥協する
「無能」だと思われたくない ・・・ ミスを隠したり、自分の考えを言わない
「否定的」だと思われたくない ・・・ 率直に意見を言わない

こうした自己防衛がもたらす非効率性は大きなものです。Googleの調査によれば、心理的安全性の高いチームは離職率が低く、収益性も高くなることが分かっています。また、心理的安全性を構築するには、リーダーの力が必要です。リーダーがどんな状況にも謙虚に、好奇心を持って向き合えば、メンバーは自然と心理的安全性を感じることができます。あなたのチームは大丈夫ですか?まずは現状を把握することからはじめましょう。

2-2.心理的安全性の欠如が引き起こす問題

心理的安全性が欠如すると従業員は自分の意見や考えを自由に表現しなくなります。これにより、新しいアイデアや改善案などが出にくくなり、チームのイノベーションが阻害されます。また、心理的安全性が低い環境では、従業員はリスクを避け、安全な選択をする傾向があります。リスク回避のために新しい取り組みやチャレンジングなプロジェクトへの参加が減少し、組織全体の成長に歯止めがかかる可能性があります。

さらに、心理的安全性の欠如は、従業員のモチベーションやエンゲージメントにも悪影響を与えます。従業員が自分の声が届かないと感じると、仕事への情熱や意欲が低下し、結果として生産性が低下します。また、ストレスや不満が蓄積し、離職率が増加するだけでなく、従業員のメンタルヘルスにも影響を与えます。ストレスや不安の蓄積は、うつ病や不安障害など、心の健康問題につながります。これにより、従業員の健康と幸福感が損なわれ、組織全体のパフォーマンスに悪影響を与えるでしょう。

このように、チームにおける心理的安全性が欠如すると、協力性やイノベーション、生産性、従業員のメンタルヘルスなどに悪影響を及ぼし、組織の売上が減少する、離職率が増加するなどの弊害が生まれます。

3.心理的安全性を高める方法

3-1.リーダー個人が取り組むべき、心理的安全性を高める方法

チームの一人ひとりの心がけによって、心理的安全性を生み出し、向上させることができます。まずはリーダー個人ができる心理的安全性を向上させる方法として下記のようなものが挙げられます。

好奇心を持ち、積極的に質問やコミュニケーションをとること
失敗は自分が学ぶための場と考えること
自分のミスは素直に認めること

リーダーが弱さをさらけ出し、メンバーにそれが悪いことではないと示すことで、メンバーがそれに倣い弱さを見せてくれるようになれば双方向の関係性を構築できます。メンバーに対して気持ちを汲み取る姿勢を提示し続けることが大事です。

3-2.組織で取り組む、心理的安全性を高める方法

心理的安全性を職場で認識する方法は、従業員の声に耳を傾け、彼らが自由に意見を述べることができる環境を作り出すことです。具体的には、以下の方法が挙げられます。

オープンなコミュニケーション

上司や管理者がオープンで透明性の高いコミュニケーションを行うことで、従業員が自分の考えや感情を表しやすい環境を整えます。

積極的なフィードバック

従業員に対し、定期的にフィードバックセッションを設けることで、従業員と情報共有ができる機会を提供します。従業員が質問や疑問を持った際に、リーダーだけでなくチームメンバーも積極的に回答し、サポートすることで、従業員が自分の考えや意見を自由に述べることができるような環境を築くことができます。

失敗への寛容さを持つこと

失敗を罰するのではなく、学びの機会として捉え、従業員がリスクを恐れずに新しいアイデアや提案を出せるような雰囲気を醸成します。

チームビルディングのための企画や活動

チームビルディングのために、メンバーと共に参加できるイベント活動などを通じて、従業員同士の信頼関係を構築し、心理的安全性を高める場を提供します。

以上の方法を実践することで、従業員は自分のアイデアや感情を自由に表し、意見交換やコラボレーションを通じてイノベーションを発揮することができるようになります。

3-3.心理的安全性におけるリーダーの役割

前出にもありますが、心理的安全性を構築するためには、管理職によるリーダーシップが求められます。リーダーが組織やチームの文化を形成し、方向性を示す役割を果たしているからです。リーダーが心理的安全性を重視し、支持することで、従業員はより自由に意見を言うことができ、チームは成果を上げることができます。もしリーダーが心理的安全性を軽視し、心理的安全性の及ぼす影響を知らないとすれば、従業員はすでにある仕事や人間関係を受け入れることでしょう。しかし、それ以上の発展は見込めません。

心理的安全性を構築するために、まず最初にリーダーは組織の価値観や行動基準を確立しましょう。リーダーが心理的安全性を支持し、尊重し、重要視する姿勢を示すことで、従業員はそれを模範として受け入れ、自らも同様の態度を取りやすくなります。

さらに、リーダーがコミュニケーションの中心になるべく、率先してチームでのオープンなコミュニケーションを促進し、従業員の意見や質問、懸念を受け入れる姿勢を示すことで、心理的安全性を高めることができます。従業員がリーダーとのコミュニケーションを通じて自分の声が届くことを感じると、彼らはより自信を持って意見を述べることができるようになります。また、リーダーはチームの方向性を示す役割を果たします。チームメンバーが自分の考えやアイデアを自由に提案できる環境を作り出すことで、チーム全体が協力し合い、目標に向かって効果的に取り組むことができます。

4.心理的安全性に関する調査結果

ここでは、アメリカと日本の企業研修の違いについて見ていきましょう。研修スタイルも、アメリカ・日本それぞれの文化や慣習に根ざしていることから、研修の制度設計が全く異なります。

アメリカの企業文化は個人主義と競争が強調されているため、研修プログラムは個々の能力向上や成果に焦点が当てられます。自己啓発や自己管理が奨励され、自己効力感の向上が重要視されます。一方、日本企業では一般的に組織に対する忠誠心や協力精神が重要視されるため、研修プログラムは、社内文化や価値観の浸透を強化、上司や先輩への尊敬が反映されるような研修の制度設計がされます。

心理的安全性を重視している企業では、心理的安全性をより高めるための施策として、「ビジョン・ミッション・バリューをチーム内で共有」が71.2%で最多となりました。上位を占めた他の施策としては、「メンバーのキャリア形成をサポート」が54.2%、「ミーティングで全員が発言する機会の確保」が50.8%という回答となりました。

心理的安全性への取り組みは、どのような形で成果として表れるのでしょうか。「心理的安全性の取り組みで売上/生産性向上につながったと思いますか。」(n=59)と質問したところ、「かなりそう思う」が32.2%、「ややそう思う」が52.5%と、84.7%の経営者が、心理的安全性の取り組みで「売上/生産性向上」を実感しているという回答となりました。

心理的安全性を生み出すためには、リーダーの役割が重要だと先に述べましたが、経営者はどのように考えているのでしょうか。「あなたのお勤め先の中で、成果・売上が上がっているチームの特徴はありますか。(複数回答)」(n=109)と質問したところ、「リーダーが優秀」が52.3%、「チームの仲がいい」が40.4%、「優秀な人が集まっている」が32.1%という回答となりました。この結果から、成果・売上が上がっている会社のチームには優秀なリーダーという存在があり、彼らの采配によって成果だけでなく心理的安全性も変わってくると言えるのではないでしょうか。

 

本調査で、ほとんどの企業が「心理的安全性」の必要性を感じていながらも、約4割の企業は、具体的な施策の実施に至っていない事実が明らかになりました。心理的安全性の取り組みで「売上/生産性向上」を実感する企業も8割を超えていることからも、従業員の「心理的安全性」の確保が、企業に良い影響を与えると言えます。

5.心理的安全性を測定する方法

5-1.心理的安全性の測定方法

心理的安全性は目に見えるものではありませんので、なかなか実感するのが難しいものです。では、どのようにして心理的安全性を可視化すればよいのでしょうか。心理的安全性を測定する方法として、下記のような方法が挙げられます。

社内アンケート

従業員に対して実施されるアンケートを通じて、従業員が自分の意見や感情を自由に表明できるかどうかを評価します。しかし、回収、集計、分析などの手間がかかることが難点といえます。

1on1インタビュー

従業員に対して個別のインタビューを行い、彼らが自己表現や意見を述べやすい環境にいるかどうかを評価していきます。インタビューは気軽にできる反面、双方の関係構築がうまく出来ていないと、本音を聞き出すことが難しい場合もあります。

組織サーベイ

従業員の正直な意見を集めるためには、個人が特定されないようにすることが大切です。そのため、匿名性が保持される第三者機関のサーベイを行うことをお勧めします。

これらの方法で組織やチームの心理的安全性を測定することで、チームにとって何が足りていないのか、そのためにはどうすればよいのかなどの施策や改善を行うことができます。

5-2.エドモンドソン教授による心理的安全性の9つの質問

心理的安全性は、グループやチームなど集団において発生する現象です。カルチャリアでは、エドモンドソン教授が行った心理的安全性に関する広範な研究に基づき、9つの質問によるシンプルな心理的安全性に関する自己評価を行っています。

・チームメンバーの中で、反対意見が出たり、理解が得られない場合は、対立が起きますか?
・あなたのチームは、問題や意見の相違について誰もが気軽に話すことができますか?
・あなたのチームでは、ミスをすると不利な状況になることが多いですか?
・あなたのチームは、お互いにフィードバックを求めており、受け入れる姿勢がありますか?
・あなたのチームでは、自分の考えを口にするのにためらいはありますか?
・あなたのチームでは、さまざまな視点を受け入れようとしていますか?
・あなたのチームでは、メンバー同士で成功例も失敗例も共有していますか?
・会社でうまくやっていくには、手の内を隠し、本音をみせないことだ。
・あなたのチームは個性を受け入れていますか?

6.心理的安全性を向上させるための継続的な取り組み

6-1.継続的なコミュニケーションとフィードバック

心理的安全性を向上させるための取り組みとして、特に重要なのは、継続的なコミュニケーションとフィードバックです。定例ミーティングや雑談も踏まえた積極的なコミュニケーションを通じて、従業員が自由に意見や懸念の声を挙げることができる機会を作り、その声を真剣に受け止めることが重要です。さらに、従業員からの質問や疑問、懸念に対しては迅速にフィードバックを行います。フィードバックを通じて、従業員は自分の声がしっかり届いていることを実感でき、自身の行動やパフォーマンスを改善するための手段も得ることができます。

ビジネスシーンで使えるコミュニケーションとフィードバックの具体例
・ミーティング時の参加人数をできるだけ減らし、発言の時間が均等になるようにする
・提案や考えを「変えさせる」のではなく、自分から相談しに行く
・リーダー自らが鎧を脱いで、成果のためにチームメンバーに助けを求めてみる
・質問や疑問、懸念に対して、出来るだけ早く「反応」をする
・定期的な1on1ミーティングを取り入れる

このような取り組みによって、従業員は組織内での安心感を得ると同時に、自己成長やチーム全体の向上に向けて積極的に取り組むことができます。

6-2.教育とトレーニング

心理的安全性のある組織とは、率直に発言ができることで知識やアイデアの共有を増やし、失敗を恐れるのではなく、対話を通じて失敗から学び合う組織です。リーダーがどんな状況にも謙虚に、好奇心を持って向き合えば、メンバーは自然と心理的安全性を感じることができます。

しかし、リーダーが高圧的な態度であったり、機嫌が悪い、意見を押し付けようとするなど、そんなリーダーに対して、メンバーは必要以上に声をかけることはないでしょう。なかなか心理的安全性が生まれない。そんな状況にある場合は、まずリーダーの教育が必要です。

心理的安全性を構築するためには、リーダーの行動がキーポイントとなります。リーダー育成のために、マネジメント研修やワークショップをおこない、リーダーの意識改革や行動改革を促していきましょう。

6-3.文化の変革と組織開発

心理的安全性を高めるための施策として、ビジョン、ミッション、バリューをチーム内で共有するという企業が71.2%と最多でした。ミッション・ビジョン・バリューは企業が活動する際の行動指針であり、企業の成長には欠かせないものです。企業のビジョン・ミッション・バリューを従業員と共有していくことを理念浸透と言いますが、多種多様な人材がいる中で理念を浸透させていくというのは非常に難しい課題です。

経営理念を定めるだけで満足している、経営理念の内容が抽象的でわかりづらい、経営理念自体が時代に合ったものになっていない、経営理念の背景となる思いが伝わっていないなどに当てはまっていたら、理念浸透はうまくいきません。

会社全体として『どんな未来をつくりたい?』『誰にどんな価値を提供している?』『社会に対してどんな使命を担っている?』そんなことを明確にすることで、会社で働く一人ひとりがどんな働き方や意識で仕事に取り組めばいいのかというロードマップを持つことができます。理念浸透が進むことで、共通のゴールをもつチームの心理的安全性も向上していきます。

しかし、理念の浸透には時間がかかります。従業員の理解を深めるために定期的なワークショップや研修、セミナーを実施したり、人事制度に理念とのかかわりを持たせるなど、理念浸透は会社全体で施策を講じ根気強く取り組んでいくべきテーマです。

7.まとめ

心理的安全性は、チームメンバーがお互いを信頼することでモチベーションの向上や本来の自分らしさを発揮することで真価を発揮します。心理的安全性を作るには「チームの課題を全員が認識できる場を設ける」「マネージャーが模範を見せる」「小さな情報でも発信しシェアする」ことが必要です。

心理的安全性を作ることの難しさは、一度作った環境は積極的に維持しなければ長続きしないことです。心理的安全性を維持するためには、リーダーもメンバーも、ネガティブな結果を恐れることなく、既存の考え方に挑戦する職場環境を育むために、常に好奇心を持ち続けることが求められます。

誰しも良く知らない人に対し、助けを求めたり、的外れかもしれないアイデアを提案したりするのは抵抗があるものです。もしかしたら、馬鹿にされたり、否定されたり、敵だと思われるかもしれない。そんな場で、お互いが協力しあうというのは難しい話です。この抵抗感をなくすためには心理的安全性が必要です。お互いが相手に対して興味を持つことによって解釈に寛大さができ、心理的安全性が生まれます。これにより他人に対し思い切った行動ができるようになり、それらが積み重なって企業の利益になっていくのです。

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