折れない心に重要なレジリエンスとは?立ち直るために必要なことや職場での対策も解説!

どんなに楽しくやりがいのある仕事でも、残念ながらストレスは発生してしまうものです。今回はそんな毎日を軽やかにサバイブするために身に着けたい能力、「レジリエンス能力」というものをご紹介いたします。

 レジリエンス能力とは、「回復力」「復元力」「弾力」という意味の言葉で、心理学においては「精神的回復力」を表します。つまり、困難をしなやかに乗り越え回復する力のこ
とです。
 随分前から世界中でレジリエンスに関する国際会議が次々と開催され、研究、書籍の出版などと注目されてきましたが、将来の予測が困難なこの時代、気候変動や経済、生態系などさまざまな不確実性が高まり、さらにレジリエンスの重要性が叫ばれるようになりました。現在ビジネスの世界でもレジリエンスの注目度が高まり、皆さんの職場にも求められてくることが予想されます。

 この記事では、「レジリエンス能力」について解説するとともに、レジリエンス能力を高め、職場環境を改善し、さらに幸せに生きていける方法をお伝えしていきますので、ぜひお役立てください。

・感受性が豊かな人
・自分はよく挫折する思っている人
・落ち込んだ時の対処法を知りたい人

💡こんな方におすすめです!

目次

1.折れない心を作るとは?

1-1.折れない心とはどんなもの?

折れない心、それは決して「傷つかない心」ということではありません。逆境から素早く立ち直り、それをバネに成長できる心情、状態のことを「折れない心」と言います。つまり、「いくら打たれても痛みを感じない心を持つ」のではなく「いかにすばやく、楽な気持ち(安堵、安心、平穏、清らかな感覚)になる工夫ができるか」ということです。それが、「折れない心」です。

1-2.折れない心を作りあげるレジリエンスとは?

 レジリエンスの本質は、「適応力」「復活力」です。ストレスなどによって押しつぶされた心が、それを押し返そうとする、その力がレジリエンスです。
 日本はハラスメント大国、ストレス社会などと表現されることもあります。そんな日常生活の中で、燃料切れの心のまま「レジリエンス能力を鍛えるため」と打たれ続けていては、結果つぶれてしまいます。鍛えるべきは痛みを我慢できる力よりも、痛い、苦しい状況を改善する柔軟な知恵なのです。

1-3.心が折れない人の特徴・思考

折れない心を持っている人には、どのような特徴があるのでしょうか。

・ポジティブ思考である
いうまでもなく、ポジティブ思考を持つことは折れない心に直結します。
そして、自分の認知をよりポジティブなものにすることが大切です。

ポジティブ思考の大切さがよくわかる理論として、アメリカの臨床心理学者、アルバート・エリスが提唱した「ABCDE理論」というものがあります。

物事が起きる(A)、それに対する信念(B)、結果(C)という流れで事象が発生する際、(B)で偏った認知が起きた場合、それの認知に対し反論をし(E)、その結果ポジティブになれる(E)という理論です。

具体例
A:テストで90点を取った。
B:一つ間違えてしまった。100点を取るべきだったのに。自分は頭の悪い人間だ。
C:落ち込んで何もやる気が起きない。
D:本当にそうだろうか?9割も点数が取れている。一生懸命勉強した成果が出ている。
E:満点まであと一歩だ!成果も出せているし、やる気がもっと出てきた!

見てわかるように、Bで自分に対する偏った認知が生まれていますが、それに対しDで正しく反論し、認知を改めています。
 DとEの段階で、考え方が一気にポジティブになり、前向きになっていることが分かりますよね。Bで発生した偏った考えに対し、Eで合理的な批判をすることで、心が前向きになり、行動もポジティブになっていきます。

 エリスはこの理論で、人が感じる心理的な問題は「何が起きたか」ではなく「それをどのように解釈したか」によって起こりうるものであると説いています。この例では、90点を取ったことに対して、「満点を取れなかった」「9割も取れた」という二つの解釈が生まれています。たった一つの認識の違いによって、結果や行動がかなり変わっていきましたよね。
 この例からも分かるように、正しく前向きな解釈、認知をすることで、人生をよりよくすることができるのです。折れない心を持っている人は、無意識にこのABCDE理論を実践しています。

・未来志向である
 肯定的な未来志向を持つことも特徴の一つです。自分にとって良い未来を期待し、前向きなビジョンを持っています。そしてただ未来を思い描くだけではなく、その未来の実現に向けて具体的なプランを立て、行動する、そういったマインドを持っています。

・感情・ストレスの認識とコントロールができる
 自分の感情が今どのような状態なのか、そしてストレスをどのくらい感じているのかを自分で認識し、コントロールすることで、折れない心を作ることができます。
 自分がどのような感情になっているのか、そしてなぜそのような感情になりストレスを感じているか認識することで、正しく自分をケアすることができます。よく「自分の機嫌は自分でとる」といいますが、自分のことを大切にし、自分の感情、ストレスとうまく付き合うことで、心を守ることができます。
 そして、感情的になりすぎず、自分の心と冷静に向き合うことで、ストレスのもととなる周りとの衝突を未然に防いだり、さまざまな問題を避けることができます。
 何かが起こった時にもセルフコントロールをすることで、感情的になりすぎず、客観的に物事を見て判断することができ、折れない心に繋がります。

2.折れない心に必要な「レジリエンス」の構成要素

・自己認識

 「心が折れない人の特徴・思考」でもお伝えいたしましたが、自分の行動、感情などをしっかり自分で認識することです。感情的にならず、客観的、現実的に状況や気持ちを判断することで、困難な状況を脱することができます。

・自制心

 これも「心が折れない人の特徴・思考」に通じますが、自分の感情、行動を自分でコントロールすることです。セルフマネジメントを行うことで、感情的、突発的な感情に支配されることなく、適切な行動を起こすことができます。社会で生きる者の一員として、身に着けたい要素の一つです。

・精神的敏捷性

 精神的敏捷性とは、物事を多面的かつ本質的に捉えることです。ストレスや困難があった際、焦ったり視野狭窄になるのではなく、冷静に本質を捉えることです。冷静に、そして敏捷に対応することで、適切に問題を解決することができます。

・楽観性

 ABCDE理論にも繋がってきますが、問題解決や困難に打ち勝たなくてはならないとき、「もっといい状況になる」「成長のチャンス」という気持ちを持つことです。悲観的な気持ちになりそうな時でも、前向きな気持ちに切り替え、次への糧にすることが大切です。

・自己効力感

「自分はできる」という考えのことです。自己効力感を持つことで、困難な状況からの容易な脱却が期待できます。
 20世紀の著名な心理学者 バンデューラによると、以下の4つの要素で自己効力感を高められるといいます。

遂行行動の達成:自分の力で達成した経験を積み重ねる
代理的経験:他人の経験を見聞きしたことによる疑似体験から、自分にも出来そうだと考える
情動的喚起:体調を整えたり、気分を盛り上げたりする
言語的説得:励ましや褒められるなど、言葉による説得

・つながり

 困難な状況に陥った際、人からの励ましや暖かい人間関係が重要で、つながりと、そのつながりをつくる能力も必要です。自分から積極的にいい人間関係を作る行動をしていくことが大切です。

3.職場におけるレジリエンス

3-1.なぜ職場でレジリエンスが重要なのか

現在、徐々に職場のレジリエンスの必要性が訴えられるようになってきました。職場のレジリエンスの高まりでさまざまなメリットがあり、その一部をご紹介します。

離職率の低下:社員のレジリエンス能力が高まると、適度な緊張感を前向きにとらえ、社員が活き活きと仕事をするようになります。そのため、心身の不調を訴える社員が減ったり、仕事の重みから退職を選ぶ社員が減り、結果的に離職率が低下します。

変化への適応:将来の予測が困難な時代、職場の変化は非常に起こりやすくなりました。それらの「変化」に柔軟に対応できるような社員を育てることで、戦略転換やリスクに強い組織を作ることができます。

3-2.レジリエンスの高い職場にするための具体的

レジリエンス能力の高い職場にするためにどうすればいいのかをお伝えします。

・職場の心理的安全性を高める
 ギスギスした人間関係や失敗を許さない風土があると、個人が何か失敗したときや回復しようとしたとき、その妨げになり、レジリエンスとは真逆の状態になってしまいます。
 何かが起きても助け合い、許容しあい、再挑戦を推奨する環境を作ることで心理的安全性が高まり、社員一人ひとりが「失敗を恐れず、挑戦する心」「学びを次に生かす心」「失敗しても諦めない心」を育てることができます。その結果、個人、そして組織のレジリエンス能力が高まっていくのです。

・学べる環境を作る
 常にその時代や職務に必要な知識、スキルを学べる環境を作ることで、長期的に組織の柔軟性を高め、レジリエンス能力のある個人、組織を作ることができます。心理的安全性の高い職場作りに関連してきますが、職場のマナーや必要なマインドセットを学ぶことも、レジリエンス能力を高めるうえで非常に重要です。

4.日常生活で折れない心を養う習慣

4-1.腸活

一つ目のおすすめは「腸活」です。腸活とはその名の通り腸内の環境を整えることですが、なぜ腸を整えることが大切かというと、私たちの心と体は腸の状態によってかなり状態が変わってくるからです。
 幸せホルモンと呼ばれる神経伝達物質の「セロトニン」は、脳と腸で分泌されますが、セロトニンの合成には腸内細菌が大きく関わり、実は体内の約90%のセロトニンが腸内に存在しているのです。
 そして腸を整えることで、美肌効果、睡眠の質向上、免疫力向上など、体の調子をよくすることができます。
 そのため、腸内を整えることで、心身ともにいい状態になることができるのです。

4-2.瞑想

瞑想、マインドフルネスも心と体を整えるのにぴったりです。免疫力の改善、血圧の低下、血中コレステロール、血糖値の低下、交感神経と副交感神経のバランス改善、睡眠の質の改善に効果があります。そして緊張・うつ状態の緩和、不安の減少、ストレス耐性の向上も実証されています。
 レジリエンス能力は、心と体が整ってこそ向上できる能力なので、瞑想は最適な習慣と言えるでしょう。

4-3.日記や自己分析

日々の生活の中で感情の記録、分析をすることがおすすめです。感情を言語化することで自分の傾向が見えてきます。どんな時に落ち込み、どんな時に感情が高ぶるかなどわかります。また落ち込んだ後に何をしたら立ち直ったかなども書いておくも大事です。自分の傾向が見えてくるとそれに対する解決方法も見えてきます。

4.まとめ

レジリエンス能力の大切さについてお判りいただけましたでしょうか。
個人、そして組織のレジリエンス能力を向上させ、将来の予測が困難な時代に生き残れる体制作りを今日からぜひ始めてください。

カルチャリアでは、レジリエンス能力を向上させるための職場環境改善、制度導入等のお手伝いが可能です。経験豊富なコンサルタントが皆様のお悩みを解決します。

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